1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07671570
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 和久 千葉大学, 医学部, 講師 (20179477)
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Keywords | 腰痛 / 椎間板 / 神経支配 / 交感神経 |
Research Abstract |
目的:椎間板性腰痛の主病変部である椎間板後方の,支配神経の由来を調べることを目的として以下の実験を行った。 材料・方法:45匹のWistar系ラットを用い交感神経幹を段階的に切除し,7日後腰椎を一塊にアセチルコリンエステラーゼ染色して椎間板を後方より実態顕微鏡にて観察した。 結果:無処置のコントロール群及び交感神経幹露出のみのシャム手術群では、椎間板線維輪後方及び後縦靱帯に密な神経線維網を全ての椎間で認めた。これらの神経線維は矢状方向に分布しており左右および上下椎間で吻合を形成していた。これらの神経線維網は両側多椎間の交感神経幹切除によりほとんど消失したが、両側単椎間、及び片側多椎間の交感神経幹切除では軽度の減少のみを認めた。 考察:従来椎間板後方は脊髄神経が反回した洞脊椎神経が分節性に支配しているとされてきたがこれでは椎間板性腰痛の非局在性や,神経根の刺激で腰痛が出現しない事実を説明できない。これらの点に関して,交感神経求心路を介した伝導路を考えることで説明可能となる。 結論:本実験の結果より、ラットでは腰椎椎間板線維輪後方及び後縦靱帯は前方の交感神経幹を経由する神経線維により両側性、非分節性に支配されていると判断された。この事実は椎間板性腰痛の診断,治療法の選択において極めて重要な知見である。 今後の展開:椎間板に分布するこれらの神経線維の免疫組織学的検討、神経トレーサーを用いたより正確な伝導路の検討、および椎間関節を始めとする脊椎周囲組織の神経支配の由来に関する検討を行う予定である。
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