1995 Fiscal Year Annual Research Report
骨軟部悪性腫瘍に対する腫瘍免疫担当細胞の解明と腫瘍攻撃細胞の人為的作製
Project/Area Number |
07671587
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 信人 大阪大学, 医学部, 助手 (10252678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉都 滋之 大阪大学, 医学部, 助手 (20273683)
内田 淳正 大阪大学, 医学部, 助教授 (40176681)
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Keywords | 骨軟部悪性腫瘍 / 免疫療法 / 腫瘍内侵潤リンパ球 / T細胞受容体 / fusion gen |
Research Abstract |
平成7年度の研究実施項目として申請していた手術時摘出腫瘍内に浸潤しているcytotoxic lymphocyteの分離、培養において、得られる細胞数に多寡が見られること、腫瘍摘出前に免疫賦活剤を腫瘍周囲に投与し、生体内で局所的な炎症によるリンパ球侵潤を促す方法が必要な細胞数を得るために必要であることが判明したが、さらに、分離したリンパ球を腫瘍細胞と混在させながらIL-2やIL-4などサイトカインを用いて抗腫瘍活性を高めつつ増殖させる際に、症例により長期にわたり効率よく増殖する場合と、一旦増殖したのち低下する群があることが判明した.この事実は、腫瘍内リンパ球のサイトカインに対する反応性の違い、増殖能の違いが同じ方法で分離しているにも関わらず存在することを示しており、腫瘍内侵潤リンパ球の多様性を反映したものと考えられる.すなわち、直線的な増殖活性を示すリンパ球は、monoclonalなリンパ球が侵潤増殖していると考えられ、一旦増殖したのち低下する症例での腫瘍内侵潤リンパ球は、polyclonalなリンパ球で、サイトカインに対する反応性の弱い状態であると考えられた。実際、抗腫瘍活性が臨床的に認められた患者でのリンパ球は、直線的な増殖活性をしめしており、このような増殖活性をしめす、monoclonalなリンパ球の誘導と増殖が本研究には不可欠である.すなわち、先ず、腫瘍内で腫瘍特異抗原を認識するmonoclonalなリンパ球の誘導方法の開発が必要である. この意味で、近年報告されつつある、各種軟部肉腫に特異的なfusion geneは、腫瘍特異的遺伝子発現として腫瘍特異抗原と密接に関与していると考えられ、現在、滑膜肉腫に特異的な(X,18)の転座によって生じるfusion geneであるSYT-SSXを腫瘍特異的遺伝子発現として、PT-PCR法を利用して検討している.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 荒木信人 他: "第5章 骨・軟部腫瘍および腫瘍類似疾患 No.12 骨肉腫 Osteosarcoma." 今日の整形外科治療指針(第3版). (1995)
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[Publications] 荒木信人 他: "術中体外照射自家骨移植法による骨軟部悪性腫瘍の患肢温存術" 整形外科. 46. 1453-1462 (1995)
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[Publications] 荒木信人 他: "術中体外照射自家骨移植法による関節機能再建" 関節外科. 15(1). 61-69 (1996)
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[Publications] 橋本伸之、荒木信人 他: "ヒト滑膜肉腫におけるSYT-SSX Fusion Proteinの発現とその意義" 日本整形外科科学会雑誌. 69(8). S1413 (1995)
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[Publications] Zhao J.,Araki N.,et.al.: "Quantitation of matrix Gla protein mRNA by competitive polymerase chain reaction using glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenasc as an intermal control." Gene. 155(2). 159-165 (1995)