1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨軟部悪性腫瘍に対する腫瘍免疫担当細胞の解明と腫瘍攻撃細胞の人為的作製
Project/Area Number |
07671587
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 信人 大阪大学, 医学部, 助手 (10252678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉都 滋之 大阪大学, 医学部, 助手 (20273683)
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Keywords | 骨軟部悪性腫瘍 / 免疫療法 / 化学療法剤 / 腫瘍内浸潤リンパ球 / T細胞受容体 / 滑膜肉腫 / SYT-SSX / 融合遺伝子 |
Research Abstract |
昨年までに得られた、免疫反応性と腫瘍特異的遺伝子異常の関連を見るため、引き続きSYT-SSX融合遺伝子の検討を行った.まず蛋白レベルでのSYT-SSX融合遺伝子の発現を見るため、抗体作成をおこなった。SYT-SSXの親水性アミノ酸の豊富なC末端側96アミノ酸を発現ベクターに組込み同部のリコンビナント蛋白を合成した.これを用いてウサギの抗SYT-SSX融合蛋白ポリクローナル抗体を作成した.この抗体を用いて、滑膜肉腫細胞のcell lysateを免疫沈降し、約60kDaのバンドを検出した.また、現在、この抗体を用いて免疫染色を試みている。免疫沈降の結果では、この蛋白は腫瘍特異性が高く、腫瘍免疫における腫瘍特異抗原と充分に成り得ると考えられた。また、本融合遺伝子全体を発現ベクターに組み込んだconstructをNIH3T3細胞にtransfectし、造腫瘍性の確認をin vivoにて行い、SYT-SSX融合遺伝子が、腫瘍発生のkey geneであることも確認した。 次いで、腫瘍攻撃手段としてこのSYT-SSX蛋白の腫瘍特異性を免疫担当細胞に認識させる方法よりも、まず、腫瘍における本融合遺伝子発現を低下させることの方がより根本的治療に近いと考え、SYT-SSX融合遺伝子のanti-senseを用いた、抗腫瘍治療の検討をin vivoにて行った。すなわち、滑膜肉腫細胞と、他のcontrolの細胞に対し、anti-sense oligonucleotideやanti-senseを組み込んだconstructを作成、投与してみた.その結果有意差をもって、anti-senseは滑膜肉腫細胞の増殖を低下させ得たが、その効果は1割程度であり、より効率的な抗腫瘍活性を持った投与法が必要であった.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hashimoto,N, Araki,N et al.: "Clinical relevance of the SYT-SSX Fusion Gene in Synovial Sarcoma" Journal of Musculoskeletal Research. 1(2). 111-119 (1997)
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[Publications] 荒木信人 他: "骨軟部悪性腫瘍症例に対するサイトカインを使用した免疫療法" 日本整形外科学会誌. 71(3). S731- (1997)
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[Publications] 橋本伸之、 荒木信人 他: "ヒト滑膜肉腫におけるSYT-SSX融合蛋白の検出" 日本整形外科学会誌. 72(6)in press. (1998)
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[Publications] 荒木信人: "滑膜肉腫における遺伝子異常の意義" 整形外科. 48(5). 644- (1997)
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[Publications] Naka,N, Araki,N et.al.: "Mutations of p53 tumor-suppressor gene in angiosarcoma" Int J Cancer. 71(6). 952-955 (1997)
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[Publications] Uchida,A, Araki,N et.al.: "Neoadjuvant chemotherapy for pediatric osteosarcoma patients" Cancer. 79(2). 411-415 (1997)