1995 Fiscal Year Annual Research Report
Cryopreservationを用いた同種神経移植の実験的研究
Project/Area Number |
07671615
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
玉井 進 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10075088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 弘嗣 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20221640)
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Keywords | 保存 / 組織移植 |
Research Abstract |
B.Nラット(allograft群)およびLewisラット(isograft群)の坐骨神経を液体窒素を用いて凍結保存し、これを坐骨神経に欠損を作成したラットへ移植した。細胞を凍結する際に生じる凍害の保護剤として、DMSO(dimethylsulfoxide)を使用した。坐骨神経に1センチメーターの神経欠損部を作成し、そこに液体窒素で凍結保存した神経を1.5センチメーター移植した。移植後2週、4週で移植した坐骨神経を採取し、H-E染色による組織学的評価およびCAT活性値(Choline acetyltransferase activity)の測定による生化学的評価を行った。 allograft群では、2週、4週ともに著明な炎症反応を認め、移植した神経は収縮あるいは吸収されていた。allograft群での、このような所見は、移植片の抗原性による拒絶反応が起こっているものと考えられた。isograft群でもその程度は比較的軽度であるものの同様の炎症反応が認められていた。isograft群でのこのような所見は、凍結保存による神経組織の破壊によるものと考えられた。また、CAT活性値は、isograft群では、移植神経片の中枢端で7562、中央部で5148、末梢端で5463であり、移植した神経の末梢部分まで神経の再生が進んでいることが示唆された。一方、allograft群で移植神経片の中枢端で9008、中央部で3735、末梢端で1333であり、神経の再生は不十分であった。組織所見と生化学的評価から凍結保存のみでは、移植神経片の抗原性を完全に低下させることは困難であると考えられた。 来年度は、人工材料を用いるとともに、保存状態を評価する方法をあらたに考案し、これを用いて神経のみでなく、筋肉等の保存や移植後のviabilityの評価を検討する予定である。
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