1996 Fiscal Year Annual Research Report
硬膜外へ穿破した腰椎椎間板ヘルニアに対する生体反応の研究
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07671617
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Research Institution | Dokkyo University School of Medicie |
Principal Investigator |
東村 隆 獨協医科大学, 医学部, 講師 (10180118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 裕 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90113604)
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Keywords | 腰椎椎間板ヘルニア / 髄核 / 硬膜外脱出ヘルニア / 造影MRI / 椎間板の生体反応 / 自然吸収 / 免疫組織学的検索 |
Research Abstract |
近年、硬膜外へ穿破した髄核は、マクロファージ、T細胞による異物反応で吸収されるという事実が明らかになってきた。今回、吸収過程の段階を明らかにするため43例の手術摘出標本にHE染色による組織学的検索を行い、炎症細胞の出現を認めた16例(術前Gd-DTPA造影MRI陽性、硬膜外穿破、14例は急性発症(5-18週))にモノクローナル抗体(CD2,CD3,CD4,CD8,CD11b,CD14,CD56,CD68,IL-1,IL-2)を用いた免疫組織学的検索を行い、染色状態をO-3段階(O:non,1:1-5,2:5-10,3:10以上)に分類し、染色された細胞数の測定を行った。その結果、全例、CD68(マクロファージ)の染色状態は3で、急性発症の14例中12例は髄核成分に富んだものでありCD4(Helper/Inducer T細胞)、染色状態は3であった。他の2例(発症後12週、18週)は症状の改善がみられたが、患者の希望もあり手術を行ったが、髄核成分はほとんどみられず、fibrous tissueのみが認められ、CD8(Suppressor/Cytotoxic T細胞)の染色状態は3であった。さらに臨床経過が長い2例(発症後26週、28週)では髄核成分はすでに吸収されておりヘルニア腫瘤はそれぞれ繊維輪、終板であり、CD68以外はほとんど染色されていなかった。また家兎の髄核と線維輪を各々硬膜外へ移植し、3日、1週、2週、3週後に移植した髄核、線維輪を摘出し、CD68、CD4、CD8を用いた免疫組織学的検索を行った結果、3日より髄核にCD68が認められ、1週以後ではCD4、CD8も陽性を示した。一方線維輪では炎症細胞はほとんど認められなかった。以上より硬膜外に穿破した髄核(血行(-))は非自己として識別され3日以内にマクロファージが集合し吸収が始まり、1週以内にT細胞も加わり、早いものでは4週以内に吸収されるものと考えられた。
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Research Products
(1 results)