1996 Fiscal Year Annual Research Report
骨に対する物理的刺激(情報)は細胞レベルで如何に修飾・変換され受容・伝達されるか
Project/Area Number |
07671629
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Research Institution | OSAKA MEDICAL COLLEGE |
Principal Investigator |
山口 淳 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20239891)
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Keywords | 骨芽細胞 / パッチクランプ法 / イオンチャネル / プロテインキナーゼC / 骨粗鬆症 / 超音波骨定量法 / 日常生活活動 / 脳卒中片麻痺 |
Research Abstract |
培養骨芽細胞(MC3T3-E1)の電気生理学的特性をパッチクランプ法を用いて単一チャネルレベルで調べた。その結果、同細胞には陰イオンチャネルであるクロライドチャネルが存在し、以下の特性を有することが判明した。1.膜電位依存性を有し、細胞膜電位0mVを中心とする狭い範囲内で活性化され、膜電位をその範囲外へ変化させると経時的に不活性化される。2.この膜電位依存性は、細胞内Ca^<2+>の影響を受け、[Ca^<2+>]_iの減少に伴ない活性化電位は(+)側へ偏位する。3.単一チャネルコンダクタンスは膜の内外側ともに140mMCl^-の条件下で約340psである。4.陰イオンの膜透過阻害剤であるstilbene誘導体DIDS10μMによって可逆的に、100mMによって不可逆的に阻害される。5.ATP非存在下で活性化され、逆にATP存在下で不活性化される。6.Protein kinase Cによるチャネル蛋白あるいはその調節蛋白の燐酸化によって不活性化され、1型および2A型以外のphosphoprotein phosphataseによる脱燐酸化によって活性化される。7.細胞内Ca^<2+>の増加によって活性が増強される。以上の知見から、細胞膜電位および上記の細胞内因子(ATP,protein kinase C,Ca^<2+>)に変化をもたらす種々の物理的刺激は、このクロライドチャネルの活性調節して介して情報伝達される可能性が示唆された。 さらに、上記の実験と並行して、ヒト踵骨の骨萎縮度と日常の活動性との関係について超音波法を用いて調べた。その結果、超音波伝播速度(SOS)および広帯超音波減衰係数(BUA)は、(1).骨粗鬆症患者では、活動量の少ない入院患者の方が活動量の多い通院患者に比べて有意に低下していた。(2).移動能力別では、車椅子群、杖歩行群、独歩群と活動量の低い順に有意に低下した。(3).脳卒中片麻痺患者では、麻痺側と非麻痺側との間に有意な差を認めなかった、などの知見を得た。
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[Publications] 山口淳: "高槻市における骨粗鬆症予防教室について-健康教室としての踵骨の骨定量-" 第2回骨ドック・健診研究会プログラム抄録集. 19 (1996)
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[Publications] 山口淳: "骨粗鬆症患者の踵骨の骨萎縮度と脊椎骨折の既往ならびに日常の活動性に関する検討" 第5回日本骨粗鬆症研究会プログラム抄録集. 95 (1996)
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[Publications] 山口淳: "培養骨芽細胞における陰イオンチャネルの活性特性について-パッチクランプ法によるクロライドチャネルの同定-" 日本骨代謝学会雑誌. 14巻2号. 114 (1996)
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[Publications] 山口淳: "骨粗鬆症患者の踵骨の骨萎縮度と日常の活動性に関する検討" リハビリテーション医学. 33巻12号. 1023-1024 (1996)
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[Publications] 山口淳: "骨粗鬆症患者の踵骨の骨萎縮度と脊椎骨折の既往に関する検討" リハビリテーション医学. 33巻12号. 1023 (1996)