1996 Fiscal Year Annual Research Report
悪性骨軟部腫瘍の局所浸潤並びに肺転移におけるヒアルロン酸の役割
Project/Area Number |
07671633
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
小宮 節郎 久留米大学, 医学部, 講師 (30178371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 豪 久留米大学, 医学部, 助手 (80209494)
柿添 光生 久留米大学, 医学部, 助手 (30233662)
成田 修吾 久留米大学, 医学部, 助手 (10237604)
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Keywords | ヒアルロン酸 / 転移 / 悪性 / 骨肉種 / CD44 |
Research Abstract |
今年度は血清ヒアルロン酸の測定例をひろげ統計学的に解析を行い、さらに骨肉腫細胞のヒアルロン酸レセプターの存在を確かめた。症例は最終的に125例の良・悪性骨軟部腫瘍患者であり、得られた血清を材料とした。58例が良性、67例が悪性でそのうち43例が肺転移を示し、24例は転移をみなかった。血清ヒアルロン酸値の測定はsandwich binding protein assayにより行い、その値と数々の血液学的パラメーター(肝機能、腎機能、炎症サイン)、良・悪性、肺転移の有無等との相関関係を調べた。なおヒアルロン酸は肝臓で代謝され、非活性化されていくため、肝臓の重大な疾患は血清ヒアルロン酸の滞留を必然的に引き起こすことになる。そのため関機能の異常を示す症例は研究対象から除外した。結果は血清ヒアルロン酸値は以下のものと強い相関関係を示した:悪性(p=0.0001)、肺転移有り(p=0.0001)、年齢(p=0.0001)、血沈(p=0.0085)、BUN(p=0.0116)、Ch-E(p=0.0169)、AlP(p=0.023)、CRP(p=0.0675)。癌や肉腫による著明な骨破壊によって分解されたヒアルロン酸、肺転移による肺組織中の破壊されたヒアルロン酸、貯溜した胸水に存在するヒアルロン酸が血中へ移行するために、悪性例や肺転移例で高値を示すと考えられた。ヒアルロン酸の高値を示す悪性例で悪液質に近い状態では腎機能や肝機能の低下をきたすことが多いことからこれらとの相関があると思われた。 骨肉腫細胞表面にはヒアルロン酸リガンドであるCD44が存在していることが、フローサイトメトリーを用いた検索で証明され、ヒアルロン酸が骨肉腫細胞の生物学的活性に影響を与えうると考えられた。
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