1995 Fiscal Year Annual Research Report
新しい鎮痛薬の脊髄レベルでの適用-脊髄内疼痛伝達に対するアデノシン受容体作動薬、ヒスタミン受容体拮抗薬およびシクロオキシゲナーゼ抑制薬の作用-
Project/Area Number |
07671636
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
太田 善博 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (00142802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原澤 克巳 北海道大学, 医学部, 助手 (30271662)
岡村 篤 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (40250443)
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Keywords | ラット / 疼痛 / 脊髄 / 受容体 / シクロオキシゲナーゼ / アデノシン / ヒスタミン |
Research Abstract |
鎮痛薬であるシクロオキシゲナーゼ抑制薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、およびアデノシン受容体作動薬の脊髄疼痛伝達系に対する抑制効果を、新生児ラット遊離脊髄標本を用い解析した。 胸髄以下の脊髄を遊離し、酸素化した人工脳脊髄液で灌流した記録槽に固定した。腰髄後根の電気刺激により、前根に運動機能の指標となる単シナプス反射電位(MSR)と侵害受容反射である緩徐前根電位(sVRP)が誘発される。灌流液中に薬物を投与しMSRおよびsVRPの変化率を解析した。 シクロオキシゲナーゼ抑制薬のインドメタシンおよびジクロフェナクは低濃度(50μM以下)ではMSRには影響せず、sVRPを用量依存性、可逆性に抑制し、その50%抑制濃度は、それぞれ58.9±6.9μMおよび49.7±2.9μMであった。この抑制はナロキソンで拮抗されなかったことからオピオイド受容体は関与していないと推測された。 ヒスタミンH1受容体拮抗薬のジフェンヒドラミン(1〜100μM)およびH2受容体拮抗薬のラニチジン(1nM〜μM)はsVRPを用量依存性、可逆性に抑制した。 アデノシンおよびアデノシン3燐酸(ATP)は低濃度(60nM以下)ではsVRPを用量依存性に抑制した。高濃度ではMSRも抑制した。この抑制は選択的A1受容体作動薬で誘発され、A2受容体作動薬では認められなかったことから、脊髄侵害受容の抑制にはA1受容体がより特異的に関与していることが解明できた。 本研究により、シクロオキシゲナーゼ抑制薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、アデノシン受容体作動薬は、脊髄レベルで侵害受容反射を直接抑制することにより鎮痛作用をもたらし、低濃度では運動機能に影響しないことが明らかとなった。今後、これら薬物の脊髄投与における安全性を検討する必要がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 蔦原 〓: "新生児ラット遊離脊髄標本の単シナプス反射電位に対する揮発性麻酔薬の抑制作用" 麻酔. 45. (1996)
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[Publications] Nakamura.Isao: "Adenosine Al receptor agonists inhibit the nociceptive transmission in the neonatal rat spinal cord." Anesthesiology. 83. A671- (1995)
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[Publications] 太田善博: "脊髄侵害反射に対する非ステロイド性消炎鎮痛薬の抑制効果:新生児ラット遊離脊髄標本を用いて" J.Anesthesia. 9(Suppl.). A330 (1995)
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[Publications] 原澤克巳: "ジフェンビドラミンによる脊髄侵害反射の抑制効果:ラット遊離脊髄標本での検討" J.Anesthesia. 9(Suppl.). A329 (1995)
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[Publications] 中村 功: "新生児ラットの脊髄侵害反射に対するアデノシンおよびアデノシン5′三燐酸の作用" J.Anesthesia. 9(Suppl.). A328 (1995)
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[Publications] 原澤克巳: "ヒスタミンの生理と薬理-循環および疼痛制御との関連を中心に-" 臨床麻酔. 19. 1485-1489 (1995)