1995 Fiscal Year Annual Research Report
経食道心エコー法による術後呼吸不全に対する低濃度一酸化窒素吸入の評価
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07671666
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
加藤 道久 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (00214403)
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Keywords | 一酸化窒素吸入 / 術後呼吸不全 / 経食道心エコー法 |
Research Abstract |
術後呼吸不全患者5例に低濃度一酸化窒素(NO)吸入療法を施行し、肺動脈圧および動脈血酸素分圧の変化を調べ、術後呼吸不全に対するNO吸入の有効性を検討し、さらに経食道心エコー法を用い肺静脈血流波形、左室流入血流波形を測定し、一酸化窒素の左室拡張機能に及ぼす影響を検討した。なお、NO吸入については、本院の倫理委員会の承認を得た。呼吸回路内の二酸化窒素濃度の測定は0.1ppm以下であり、メトヘモクロビン濃度は吸入前0.8%、吸入後0.7%であり、低濃度NO吸入療法施行中の副作用は認めなかった。1.NO吸入前の動脈血酸素分圧は166.6mmHg、NO吸入中の動脈血酸素分圧は212.5mmHgであり、全例で上昇を認め、NO吸入が肺酸素化の改善に有効であった。肺動脈カテーテルを挿入し、全例で平均肺動脈圧と肺血管抵抗係数を求めたが、NO吸入前で32.2mmHg、424dynes・sec/cm^5・m^2、NO吸入中はそれぞれ29.4、307であり、平均肺動脈圧は4例で低下、肺血管抵抗は全例で低下し、NO吸入の選択的肺血管拡張作用を認めた。2.経食道心エコープローブ(アロカ社製)を挿入し、同様に一酸化窒素吸入前、吸入中にパルスドプラ法にて左室流入血流波形および肺静脈血流波形を測定し、それぞれS-VHSビデオおよびラインレコーダに記録し、各パラメータを測定した。十分な測定が実施出来たのは5例中2例であった。左室流入血流波形のPeak E/Aはそれぞれ0.88から1.09に、1.18から0.82に変化し、肺静脈血流波形のS/Dはそれぞれ0.81から0.79に、1.15から1.20に変化した。術後呼吸不全患者に対してもNO吸入療法が肺酸素化の改善に有効であり、選択的肺血管拡張作用を有することが明らかとなった。左室拡張機能に及ぼすNO吸入の影響は、NO吸入前の心機能を十分考慮する必要があると思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 加藤道久、山部一恵、他4名: "一酸化窒素吸入療法が有効であった肺血栓塞栓症の一例" Shock(日本Shock学会雑誌). 10. 23- (1995)
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[Publications] 加藤道久、多田文彦、他5名: "術後一酸化窒素吸入が有効であった高度肺動脈狭窄症の一例" 日本臨床麻酔学会誌. 15. S124- (1995)
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[Publications] 加藤道久、赤池雅史、他5名: "Fontan型手術症例に対する一酸化窒素吸入療法の有効性について" 日本集中治療医学会雑誌. 3. S206- (1996)