1996 Fiscal Year Annual Research Report
Permissive hypercapniaにおける人口呼吸管理の研究
Project/Area Number |
07671675
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Research Institution | MIYAZAKI MEDICAL COLLEGE |
Principal Investigator |
氏家 良人 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (10201352)
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Keywords | permissive hypercapnia / 動物実験 / 組織血流 / 酸素代謝 / 心循環機能 / 脳圧 |
Research Abstract |
以下の目的で実験を施行した。 1.permissive hypercapnia施行時の換気量減少とPaCO2上昇、PH低下の時間推移を検討する。 2.PaCO2上昇、PH低下と心循環機能、脳圧および組織血流/酸素代謝への影響を明かにする。 【研究方法】 ビ-グル犬をチアミラールで麻酔導入後、静脈路を確保しケタミン、ミダゾラムで持続鎮静し、マスキュラックス投与下に非働化し人工呼吸管理した。血液ガス測定と観血的動脈圧測定のために動脈内にカテーテルを挿入した。実験中はPaO2を100mmHg前後に維持し、換気力学モニタを気管内チューブに装着した。また、連続心拍出量測定が可能な肺動脈カテーテルを大腿静脈より挿入し、脳圧センサーを開頭して硬膜外腔においた。さらに、内蔵領域の組織血流状態を判定するために胃内とS状結腸内にトノミーターカテーテルを挿入した。 1.換気量減少とPaCO2上昇、PH低下の時間推移の検討 人工呼吸モードをVolume control ventilation(VCV)として、コントロール値は一回換気量を10ml/kg体重、呼吸回数を30回/分とした。その後、換気量をコントロールの20%、30%、40%の3段階で減少させていき、PaCO2の上昇、PaCO2の低下を30分毎に検討した。 2.心循環動態、脳圧および酸素の測定 PaCO2、PHの変動と心循環動態、脳圧の変化を観察した。また、同時にFickの原理による酸素消費量の測定、酸素抽出率の測定、トノミーターによる組織血流/酸素代謝状態の測定を行った。 【結果】 1.体温が37-38℃の調節呼吸下の犬では、20%の換気量の減少により1時間後にはPaCO2は40mmHgから約60mmHgへと上昇し、PHは7.2台へ低下する。しかし、その後の上昇は少ない。30%の換気量減少では1時間後にPaCO2は80mmHg台へ上昇し、その後もPHは7.1台へ低下する。40%の減少では30分後にすでにPaCO2は80mmHgを越え1時間後には100mmHgを越えた。PHは7.0台まで低下した。 2.PaCO2の上昇では、血圧、心拍数などには大きな変動はなかった。しかし、脳圧は著しく上昇した。 3.組織血流/酸素状態に関しては現在解析中である。
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