1996 Fiscal Year Annual Research Report
フォスフォディエステラーゼ(PDE)阻害薬が赤血球に及ぼす影響
Project/Area Number |
07671680
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Research Institution | NARA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
下川 充 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (90201558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 仁 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70183598)
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Keywords | アムリノン / サイクリックAMP / 酸素親和性 / P50 |
Research Abstract |
フォスフォディエステラーゼ阻害薬であるアムリノンが赤血球に及ぼす影響を検討した。健康成人ボランティア12人から採血し、in vitroで臨床血中濃度の1倍、10倍、100倍量のアムリノン添加群(A1,A2,A3)と無添加のC群を、37℃で3時間加温振盪の後、赤血球のP50、pH-e,-1、PCO2、PO2、BE、血糖、Na-e, -i、K-e, -i、について測定した。 P50は当初の予測とは異なり、23.9±2.05、23.7±2.59、24.0±2.05、24.5±2.48 (C、A3、A2、A1)と有意差はなく、赤血球ヘモグロビン酸素親和性への影響は認められなかった。しかしpH-eは7.319、7.184、7.288、7.314、pH-iは7.086、6.996、7,069、7.083と、用量依存性の有意なアシドーシスを認めた。またPCO2は30.8、36.8、31.9、30.5と、血糖も80.7、68.8、76.5、76.3と、A3群で有意なPCO2上昇、血糖の低下を認め、これらより用量依存性の赤血球内における解糖系の代謝亢進が示唆された。しかし、電解質に関しては、Na-e, -i、K-e, -iとも有意な変化はなく、イオンチャンネルに与える影響は軽微と思われた。 以前のジブチリルサイクリックAMP(以下DBcAMP)での実験では、解糖系の代謝亢進と酸素親和性の減少がパラレルに認められた。サイクリックAMPを増加させる点では同じだが、DBcAMPがサイクリックAMPを細胞内に取り入れるのに対し、アムリノンは細胞内サイクリックAMPの分解抑制により細胞内濃度を保持するという機序の差異がこのような結果をもたらすものかもしれない。 また少数ではあるが、5時間後における実験でも酸素親和性に影響はなかった。今後は他のPDE阻害薬でも赤血球への影響を調べたい。
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