1996 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔薬と高炭酸ガス血症の血管拡張作用におけるNOの関与
Project/Area Number |
07671689
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Research Institution | TEIKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
水本 靖 帝京大学, 医学部, 助手 (20190663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 和夫 帝京大学, 医学部, 教授 (30082093)
稲田 英一 帝京大学, 医学部, 助教授 (40193552)
藤岡 丞 帝京大学, 医学部, 助手 (00276768)
船山 忠久 帝京大学, 医学部, 助手 (70238658)
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Keywords | 一酸化窒素 / セボフルラン / L-NAME / 血管抵抗 / in vivo / 高炭酸ガス血症 / 血管拡張 |
Research Abstract |
in vitroの研究で一酸化窒素(NO)の血管拡張作用はハロゲン化麻酔薬で抑制されると報告されている。in vivoの研究では、ハロタンの報告はあるが、セボフルランの報告はない。そこでイヌを用い、マイクロスフェア-法でセボフルランの内皮細胞由来NO抑制作用は用量依存性抑制という仮説を検討した。次に、高炭酸ガス血症による血管拡張の機序には不明な点が多いので、この反応に対するNOの関与についても同様の方法で検討した。 方法:(1)麻酔はセボフルランのみ、FIO_2=0.4。呼気終末セボフルラン濃度1MACを2.4%として、0.75、1.0および1.25MACの3群(L群,M群,H群,)に分けた。L-NAME10mg/kgの静注前、10分後にマイクロスフェア-を左室内より注入し、各臓器血管抵抗変化率を算出した。(2)1.25MACセボフルラン麻酔下、正常P_aCO_2(35-45mmHg)群(N群)と高P_aCO_2(55-65mmHg)群(H群)に対し同様の方法で検討した。結果:(1)L-NAMEによる血管抵抗変化率は冠血管、肺血管、膵臓、胃、筋肉でL群に対しH群で有意に小さく、H群で血管抵抗の上昇率の抑制が認められた。一方、脳、肝臓、腎臓、副腎、脾臓、小腸、大腸、皮膚は、全ての群で有意の血管抵抗率上昇がみられたが、群間差はなかった。(2)血管抵抗はL-NAME投与前、後共に、脳、冠動脈、消化管でH群でN群より有意に小さかった。抵抗変化率は冠動脈、消化管で群間差はなく、脳ではH群で有意に小さかった。 結論:(1)in vivoのイヌの実験で、NOの血管拡張作用に対するセボフルランの用量依存性抑制が冠血管、肺、膵臓、胃、筋肉で認められ、以前から言われているin vitroの結果と一致した。(2)脳、冠動脈、消化管にみられた高炭酸ガス血症による血管拡張に対するNOの関与は認められなかった。
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