1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07671691
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
小池 薫 日本医科大学, 医学部, 助手 (10267164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 一郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (30134612)
山本 保博 日本医科大学, 医学部, 教授 (70125079)
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Keywords | 出血性ショック / 敗血症性ショック / 多臓器不全 / ホスホリパーゼA_2 / IL-6 / IL-8 / 好中球エラスターゼ / ヒスタミン |
Research Abstract |
日本医科大学付属千葉北総病院集中治療室に平成7年7月1日から平成8年12月20日の期間の間に入院した21人の患者で、血中II型ホスホリパーゼA2値(正常値:1.6-2.6ng/mL)を測定した。症例の内訳は、1)出血性ショック4例、2)出血性ショック+感染症併発2例、3)中等度感染症3例、4)重症感染症3例、5)外傷6例、6)外傷+出血性ショック+感染症併発3例であった。検体採取は、入室後0-1日目、2-3日目、4-7日目、8日目以降に行った。1,2)出血性ショック単独症例では血中II型ホスホリパーゼA2値は全経過を通じて10ng/mL以下であったのに対し、出血性ショックに感染症を併発した症例では入室後0-1日目、2-3日目でそれぞれ250±70ng/mL、580±380ng/mLと高値を示した。2,3,4)中等度感染症では血中II型ホスホリパーゼA2値は全経過を通じて100ng/mL以下であったのに対し、重症感染症では入室後0-1日目で460±210ng/mL、2-3日目で500±140ng/mL、感染症に出血性ショックを併発した症例では入室後0-1日目、2-3日目でそれぞれ250±70ng/mL、580±380ng/mLと高値を示した。5,6)外傷単独症例では血中II型ホスホリパーゼA2値は全経過を通じて50ng/mL以下であったのに対し、外傷に出血性ショックと感染症を併発した症例では、入室後2-3日目、4-7日目、8日目以降でそれぞれ、480ng/mL、250±80ng/mL、340±160ng/mLと高値を示した。さらに、これらの症例の中で多臓器不全を合併した4例でのII型ホスホリパーゼA2の最高値は、1076ng/mL、959/mL、648/mL、277ng/mLと非常に高く、4例中3例が死亡した。多臓器不全が発生する頻度は危険因子(感染症、ショック、外傷など)が多くなるにつれて高くなることが知られているが、血中II型ホスホリパーゼA2値も危険因子の数とともに高くなる傾向を示した。血中II型ホスホリパーゼA2値の上昇は、多臓器不全が発生する以前に明らかとなった。
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