1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07671691
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Research Institution | NIPPON MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
小池 薫 日本医科大学, 医学部, 助手 (10267164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 一郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (30134612)
山本 保博 日本医科大学, 医学部, 教授 (70125079)
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Keywords | 出血性ショック / 敗血症性ショック / 多臓器不全 / ホスホリパーゼA_2 / IL-6 / IL-8 / 好中球エラスターゼ / ヒスタミン |
Research Abstract |
小腸の血行不全は局所および遠隔臓器に組織障害を引き起こし、外傷や大量出血に続発する多臓器不全の原因になると考えられている。我々は、重症外傷・出血性ショック・重症感染症症例にPI検査(パーテクネテイト急速静注による腹部ファーストパス像の解析)を行い、これらの状態では血圧がたとえ正常に維持・回復されていても、腹腔内臓器(特に腸管)への血流不全状態は長期にわたり継続することを観察した。 我々は腸管の低灌流が全身に及ぼす影響を調べるために、小腸虚血・再灌流動物モデルを作製した。ラットに上腸間膜動脈血行遮断と再灌流を行うと、ホスホリパーゼA_2(PLA_2)依存性に肺障害が出現する。上腸間膜動脈を45分間血行遮断し、小腸ホモジェネートに存在するPLA_2サブタイプを検討した結果、小腸PLA_2活性はほとんどが分泌型II型であることが明らかとなった。さらに分泌型II型PLA_2に対する阻害剤S-5920をラットに前投与してから小腸虚血・再灌流を行うと、肺障害の出現は完全に予防された。 これらの動物実験の結果と今までの臨床研究の結果を総合すると、重症外傷・出血性ショック・重症感染症の際に出現する高II型PLA_2血症は続発する肺障害(成人型呼吸促迫症候群)の発生と深く関連している可能性が示唆された。今後臨床応用可能なII型PLA_2阻害剤が開発されれば、重症救急患者に合併する成人型呼吸促迫症候群や多臓器不全の予防・治療に役立つ日も期待される。
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