1996 Fiscal Year Annual Research Report
閉塞性膀胱機能障害における神経成長因子の役割とm・RNA神経成長因子の局在の解明
Project/Area Number |
07671705
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Research Institution | SHINSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西沢 理 信州大学, 医学部, 教授 (60091815)
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Keywords | 閉塞膀胱 / 膀胱NGF / 虚血 |
Research Abstract |
閉塞性膀胱機能障害において膀胱の虚血が重要な因子となる可能性があることから,本年度はラットを対象として,虚血膀胱の膀胱機能と膀胱組織内神経成長因子(以下、膀胱NGFと略す)の経時的変動について検討を加えた。8〜12週齢のWistar系雌ラットを,1)正常群(n=18),2)虚血膀胱群(n=49),3)sham手術群(n=26),の3群に分けた。虚血膀胱ならびにshamモデル作成の直後,1日後,1週後,2週後ならびに4週後に膀胱機能と膀胱組織内NGF量を測定した。膀胱機能の評価は膀胱と尿道との連続性を保った状態における膀胱内圧曲線により行った。検討結果を以下に示す。 1)膀胱機能:静止時膀胱内圧は虚血直後に著明に上昇し,その後急速に下降して1週後以降は正常群との差を認めなかった。一方,最大膀胱収縮圧は虚血直後から低下して1日後に最低値となったが,4週後には正常群の水準に回復した。排尿頻度は虚血1日後にもっとも増加し,以後漸減傾向を示した。なお虚血1日後から2週後にかけて膀胱内圧曲線上,排尿には至らない微小収縮波の頻発傾向がみられた。残尿量は虚血1週後に最大値を示す増加傾向を示したが,有意な変化はなかった。しかし排尿効率は虚血から1週後まで急激に低下し,その後回復して4週後には正常値に戻った。 2)膀胱NGF:虚血直後から増加して1日後に正常の2.4倍に達したが,その後急激に低下して1週後以降には正常群との差をみなかった。 膀胱NGFの増加とともに膀胱が過活動状態となったことから,膀胱NGFが求心性知覚神経を活性化し,膀胱機能の保持に関与するものと思われる。
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