1995 Fiscal Year Annual Research Report
尿路癌における血管新生の作用機構の解明とその阻害物質の検索
Project/Area Number |
07671739
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
中川 昌之 大分医科大学, 医学部, 講師 (90164144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 義久 大分医科大学, 医学部, 助手 (80244177)
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Keywords | 腫瘍血管新生 / 尿路癌 / 血管新生因子 / 管腔形成 |
Research Abstract |
血管新生は腫瘍組織が一定の大きさを超えて発育増殖していくための不可欠なプロセスである。われわれは尿路癌における血管新生の機構を解明するために、培養系腎細胞癌と膀胱癌、および手術時摘出組織を用いて各種血管新生因子の発現、細胞内局在、また二層培養の系で微小血管内皮細胞の管腔形成能を検討した。その結果、以下の知見を得た。 (1)b-FGF,VEGF,TGF-αは膀胱癌よりも腎細胞癌に強く発現していた。そしてb-FGF,VEGFの発現は腎細胞癌で著明に増加していた。 (2)免疫組織学的検討で腎細胞癌や膀胱癌では、b-FGFは主に核に、VEGFは細胞質に局在していた。 (3)RT-PCRによる検討では、b-FGF,VEGF,TGF-α,PDGF-Aの発現率は腎細胞癌(26例)においてそれぞれ96%、77%、69%、50%であった。また膀胱癌(13例)においては、それぞれ77%、62%、0%であった。 (4)ヒト大網由来の微小血管内皮細胞を腎癌細胞と二層培養すると血管様構造(管腔形成)がみられた。そして外来性にb-FGFやVEGFを添加すると、濃度依存的に管腔形成の増加が観察された。さらに、この管腔形成はこれらの血管新生因子の特異抗体により阻害された。 以上の結果より、腎癌や膀胱癌での腫瘍血管新生にはいくつかの血管新生因子が多段階的に関与していることが推察された。さらに腎細胞癌においては、b-FGFやVEGFが微小血管の管腔形成を誘発することにより腫瘍血管新生が促進されるものと考えられた。
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