1997 Fiscal Year Annual Research Report
精子発生能不全精巣におけるspermatogenesisの研究
Project/Area Number |
07671742
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Research Institution | Sapporo Medical University School of Medicine |
Principal Investigator |
堀田 浩貴 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20260771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 泰司 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50112454)
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Keywords | 男子不妊症 / 精祖細胞 / DNA合成能 / PCNA / Apoptosis / TUNEL法 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度までに検討したPCNA染色により明らかにしたDNA合成能とTUNEL法により明らかにしたapoptosisが精祖細胞cell kineticsにどのように関与しているかを多角的に分析、検討した。 Spermatogenesisとは精祖細胞の増殖(proliferation)と精母細胞や精子細胞への分化(differentiation)である。1 Sertoli細胞あたりの精祖細胞数はその精細管における精祖細胞増殖の程度を反映し、1精祖細胞あたりの精子細胞数はその精細管での精祖細胞分化の程度を反映する。この2つのindexを用いて男子不妊症例を計4群に分けると、精祖細胞増殖は低下、精祖細胞分化は正常という特徴的な群の存在が明らかとなり、さらにその群のFSH値が正常であることから、その原因として従来男子不妊症の原因として広く提唱されているSertoli細胞機能不全以外の原因が推測された。 この特徴的な群における精祖細胞のDNA合成能とapoptosisとを検討したところ、PCNA染色にて得られたDNA合成能の結果は正常であるが、TUNEL法にて得られたapoptosisの程度は亢進していた。そしてDNA合成能/apoptosis比は正常に比して有意に低下していた。すなわちこの症例群では、精祖細胞のapoptosisの亢進が精祖細胞数の低下を引き起こし、しかし、その後の分化は正常に進むものと類推された。このapoptosisの原因は不明であるが、もちろんFSHが正常であるからといってSertoli細胞機能は正常とは言えない。我々はapoptosis関連蛋白の変化を検討することで、異常の原因の追求を次に試みた。 B cell lymphoma/leukemia-2(Bcl-2)およびBcl-2 associated X protein(Bax)の発現を同じ症例の精巣組織標本を用いて免疫組織科学的に検討を行った。しかし正常例も含めてBcl-2,Baxのいずれかの発現も認められず、パラフィン封埋切片を用いた検討の限界と考えられた。
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[Publications] Y.Sato,H Horita,et al: "Effect of oral administration of prostaglandinE1 on erectile dysfunction" British Journal of Urology. 80(5). 772-775 (1997)
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[Publications] 安達秀樹、堀田浩貴 他: "陰茎勃起機能評価としての陰茎最大増加値の検討" 日本泌尿器科学会雑誌. 88(9). 788-794 (1997)
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[Publications] Y.Sato,H Horita,et al: "Effect of the nitric oxide level in the medial preoptic area" American Journal of physiology. 274(1). R243-R247 (1998)