1996 Fiscal Year Annual Research Report
HLA-DRB1遺伝子適合性の影響;リンパ球混合培養と実際の移植腎予後について
Project/Area Number |
07671758
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Research Institution | HYOGO COLLEGE OF MEDICINE |
Principal Investigator |
野島 道生 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (90237842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 靖二 兵庫県立西宮病院泌尿器科, 腎移植センター, 部長
井原 英有 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30127188)
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Keywords | HLA-DRB1遺伝子 / 腎移植 / 急性拒絶反応 / リンパ球混合培養 |
Research Abstract |
腎移植症例におけるHLA-DRB1のDNAtypingを進めた結果,1996年度までの5年生着率ではDRB1適合群が91.9%,DRB1不適合群が79.9%とDRB1適合群の移植腎生着率が有意に良好であった.また,臨床例において,急性拒絶反応の発生率を検討したところ,DRB1適合群とDRB1不適合群の間に有意な差を認め,DRB1適合群の急性拒絶反応発生率は17%で,DRB1不適合群は40%であった.さらにDRB1適合群では,重篤な急性拒絶反応の発生率が有意に低かった. HLA-DR適合の腎移植症例をHLA-DRB1の適合度によってDRB1適合症例とDRB1不適合症例の2群にわけ,HLA-identicalの移植症例とともにそれぞれ提供者、受者間のMLRを行った結果、DRB1適合群のstimulation indexはDRB1不適合症例よりも有意に低く(2.91vs.8.21)、HLA-identical(1.15)に近かった。これに対してHLA-DQA,HLA-DQBはDRB1との間に連鎖が非常に強く認められること,多型性に乏しいことからMLRに及ぼす影響は小さく,また症例をHLA-DPBの適合度で2群に分けた場合,HLA-DPB適合症例とHLA-DPB不適合症例におけるMLR-Slはそれぞれ4.4と6.9であり,有意差を認めなかった.これらの結果はmolecular levelでのDR抗原(DRB1)がMLRのinductionに最も強く働くことを裏付けると考えられた. DRB1適合例においてMLR-Slが極めて低い値を示すこと、移植後の急性拒絶反応の発生率がDRB1不適合例よりも有意に低いことから、in vitro、in vivoの両方においてDRB1の適合度が移植腎予後に影響することが示唆された。
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[Publications] Michio Nojima: "The significant effect of HLA-DRB1 matching on acute rejection in kidney transplants" Transplant International. 9. S11-S15 (1996)
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[Publications] 野島道生: "HLA-DRB1適合度が腎移植成績に及ぼす影響に関する研究" 兵医大医会誌. 20. 57-67 (1995)