1996 Fiscal Year Annual Research Report
表在性膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法の再発防止機序に関する細胞化学的研究
Project/Area Number |
07671760
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Research Institution | Okinaka Memorial Institte for medical research |
Principal Investigator |
横山 正夫 (財)冲中記念成人病研究所, 主任研究員 (80010304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 裕之 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員
北原 研 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員
金村 三樹郎 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員 (00201434)
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Keywords | 表在性膀胱癌 / BCG膀注療法 / 電顕的細胞化学 / 非対称性単位膜 / ConA結合部位 / 長期変化 |
Research Abstract |
表在性膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法の抗腫瘍効果および再発防止効果は既に臨床的に立証されている。表在癌を経尿道的に切除したのち予防的にBCG膀注療法を行ない、注入前後の膀胱粘膜の超微形態およびCon A結合部位の変化を調べた。対象は頻回再発あるいは非腫瘍部に随伴病変を持つ表在性膀胱癌患者とし、BCG膀注はTokyo 172株、80mg/40ml生食、週1回8週を1コースとし、膀注終了後一定期間をおいて膀胱粘膜多部位生検を行ない、電顕的に形態とCon A結合部位を調べた、平成7年度の研究により、BCG膀注前に認められた移行上皮表層細胞の斑および稜構造(正常形態)がBCG膀注後には消失し、代わって微絨毛が出現すること、斑に特徴的な非対称性単位膜(asymmetric unitmembrane:AUM)が消失することが判明した。引き続きBCG膀注終了日より生検日までの間隔をあけ、またBCG膀注後再発症例につき検索し、BCG膀注の長期的変化につき調べた。45症例、49膀注療法の前後に87回の粘膜生検を行ない、得られた502標本を観察した。BCG膀注後4週前後で行なわれた生検では、上皮内の著しい浮腫と、上皮内および上皮下の細胞浸潤が認められ、浮腫は2-3カ月で消失したが、細胞浸潤は数カ月持続した。間質の類上皮肉芽腫は数年後にも認められた。表層細胞の形態的回復をAUM出現率で表示すると、生検日45日以内では27.1±53%(n=3)、181日以上では85%(n=7)と、回復に6カ月以上を要することが明らかとなった。この変化は同一症例で複数回生検を行なった5症例にても確かめられた。BCG膀注療法の臨床的検討をも行ない、本療法は膀注後再発例についても有効であること、上部尿路移行上皮癌(表在性)にも効果のあること、副作用の発現率と膀注開始時期とは無関係であることを見出した。
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[Publications] 横山正夫 他: "BCG膀胱内注入療法前後の膀胱粘膜の電顕像の比較:非対称性単位膜の消失と回復について。" BCG・BRM療法研究会会誌. 19. 87-90 (1995)
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[Publications] 小田裕之 他: "表在性膀胱癌におけるBCG膀胱内注入療法2コース施行の意義。" BCG・BRM療法研究会会誌. 19. 59-64 (1995)
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[Publications] 横山正夫 他: "BCG膀胱内注入療法がもたらす膀胱粘膜の変化:長期経過例における電顕的細胞化学的観察。" BCG・BRM療法研究会会誌. 20 (印刷中). (1996)
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[Publications] 佐々木幸弘 他: "表在性膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法の副作用の実態とその経時的変化。" BCG・BRM療法研究会会誌. 20 (印刷中). (1996)
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[Publications] 松永義弘 他: "腎盂尿管腫瘍に対しBCG灌流療法を施行した4例。" 共済医報. 45 suppl. 161 (1996)