1996 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣における細胞自然死(アポトーシス)に及ぼすサイトカインの影響に関する研究
Project/Area Number |
07671761
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
古田 伊都子 北海道大学, 医学部, 助手 (70238682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 征一郎 北海道大学, 医学部, 教授 (60001898)
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Keywords | アポトーシス / サイトカイン / 卵巣 |
Research Abstract |
平成8年度は、non-radioactiveで高感度なアポトーシス(Apo)の検出法およびその定量法の確立を行った。TdTを用いてのDNAの3′末端にDIG-ddUTPをラベルし、電気泳動後メンブランに転写、ALP標識抗DIG抗体と反応後、化学発光基質で発光させることによりDNAのRI標識法と同等又はそれ以上高感度なApo検出法を確立することができた。また、電気泳動ドキュメンテーション解析システム(EDAS ; Kodak社)のBioMax1D解析ソフトを用いてX線filmの画像を解析し、低分子量DNAのdensityを調べたところ、RI標識法でfragmentationをおこした低分子量DNAの部分をゲルから切り出してきて、その放射能活性をβ-カウンターで測定した場合とほぼ同じ結果が得られた。従って、今回確立した検出法は、Apoの程度を比較・定量することもできる方法であると考えられた。 本研究では、高感度のApo検出法を確立し、その手法を使って卵巣細胞におけるApoに及ぼすcytokine (CK)の影響を調べることを目的としていたが、2年という短い期間では残念ながら、高感度なApo検出法の確立しか達成できなかった。しかし、今回確立したDIGラベルおよび化学発光によるApo検出法は、RI法よりも感度がよく、また画像解析ソフトによってその定量化も可能なので、これから卵巣におけるApoの研究を続けて行くのにおおいに役立つと思われる。即ち、この方法を用いてCKが顆粒膜細胞のApoに影響を与えるか否か、ひいては排卵か閉鎖かといった運命の決定にも関与しうるかについて検討することができ、卵胞の成熟・排卵のメカニズムを解明する上できわめて有力な手段となると考えられた。また今後の課題として、多嚢胞性卵巣症候群(PCO)は早発卵巣不全(POF)等の排卵障害を伴う疾患の病因・病態解明にも役立てていきたいと考えている。
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