1997 Fiscal Year Annual Research Report
胎児細胞移植による遺伝疾患の胎児治療についての基礎研究
Project/Area Number |
07671762
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上原 茂樹 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (10168651)
|
Keywords | 胎児肝由来造血幹細胞 / 腹腔内移植 / コロニーアッセイ / 細胞分化 |
Research Abstract |
妊娠日齢13、15、17のマウス胎仔をドナーとして採取した肝造血幹細胞を、妊娠日齢15、16、17の同系統マウス胎仔腹腔内に移植し、その生着を生後6週目に調べた。生着の確認は雌の尾静脈より採取した末梢血よりDNAを抽出し、Sry(Sex determining region Y chromosome)をPCR増幅することでおこなった。ドナー胎仔は雌雄問わず肝造血幹細胞を採取したので、雌の末梢血DNAに雄血液細胞由来のDNAが混在しているとSry陽性となり、「生着あり」と確認される。また、ドナーの肝造血幹細胞をin vitroでコロニーアッセイし、形成されるコロニーを形態的に観察し、コロニー形成細胞の種類を分別した。 1)肝造血幹細胞のレシピ-エントマウス胎仔への生着は、妊娠日齢15でもっとも高頻度(平均32.6%=14/43)でおこり、妊娠日齢13、17ではほとんど生着はみられなかった。レシピ-エント胎仔の妊娠日齢は生着に影響を与えなかった。 2)コロニーアッセイでは、妊娠日齢13でもっともコロニー形成能が高かったが、妊娠日齢15では13より若干の低下があったのみで、妊娠日齢17では大きく低下していた。また妊娠日齢間でコロニー形成細胞の種類に変化がみられた。 以上の結果より、妊娠日齢15の肝造血幹細胞が胎仔腹腔内移植に際して最適であることが指摘できた。また、それは肝造血幹細胞が妊娠日齢15で腹腔内移植に適した分化状態にあるからと推測できた。生着に関してレシピ-エントの妊娠日齢は無関係であると示唆された。
|