1996 Fiscal Year Annual Research Report
免疫学的妊娠維持機構におけるHLA-Gの生理学的・病理的意義
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07671768
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 知行 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40209010)
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Keywords | HLA / 免疫 / 妊娠中毒症 / 胎盤 / インターロイキン-2 / 血管増殖因子 |
Research Abstract |
(1)妊娠中毒症におけるHLA-G発現の異常。 HLA-Gタンパクに対する単クローン抗体を用いて、妊娠中毒症例の胎盤の免疫組織染色を実施し、全例で絨毛外トロホブラストのHLA-Gタンパク発現が著しく減弱していることを示した。また、HLA-Gタンパク発現が減弱している全ての絨毛外トロホブラストにおいて、interleukin-2が存在していることが免疫組織化学染色により、証明された。これに対し、正常妊娠例の胎盤では、全ての絨毛外トロホブラストのHLA-Gタンパク発現が証明されたが、interleukin-2の存在は認められなかった。Interleukin-2は、母体リンパ球の攻撃性を増大させ、また一方、HLA-Gタンパク発現は、母体免疫細胞からの攻撃に抵抗性を増大させることが報告されているので、我々の発見した現象は、妊娠中毒症において、トロホブラストが傷害されていることを示している。 (2)Interleukin-2により活性化された母体リンパ球の妊娠中毒症発症における役割。 血管内皮細胞の培養系に、トロホブラストの培養上清を加えると増殖が促進され、トロホブラストが血管増殖因子を分泌していることが証明された。この分泌は、トロホブラストをInterleukin-2で活性化したリンパ球で処理すると低下するが、普通のリンパ球による処理では低下しないことがわかった。また、Interleukin-2で活性化したリンパ球で処理しても、トロホブラストからのホルモン分泌は低下しなかった。以上より、妊娠中毒症では、トロホブラストが障害され、血管増殖因子の分泌が特異的に低下しているため、胎盤微小血管系の構築がうまくいかず、妊娠中毒症の発症につながっていく可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hara N.,Fujii T.,Yamashita T.,Kozuma S.,Okai T.,Taketani Y: "Altered expression of human leukocyte antigen G(HLA-G)on extavillous trophoblasts in preeclampsia." Am.J.Reprod.Immunol.36. 349-358 (1996)
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[Publications] Yamashita T.,Fujii T.,Watanabe Y.,Tokunaga K.,Taketani Y: "HLA-G gene polymorphism in Japanese population." Immunogenetics. 44. 186-191 (1996)
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[Publications] Fujii T.,Tsusima R.,Okai T.,Shibata T.,Taketani Y: "Allo-nonspecific elevation of maternal killer cell activity in intrauterime growth restriction." International J.Gynecol.Obstet. 52. 237-242 (1996)
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[Publications] Ryo E.,Fujii T.,Tsutsumi O.,Okai T.,Taketani Y: "Isolated ‘contrdctions' of the uterine cervix in a patient with incomptetent cervix." International J.Gynecol.Obstet. 53. 51-53 (1996)
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[Publications] 藤井 知行: "不育症" 医学のあゆみ. 別刷. 29-31 (1996)
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[Publications] 藤井 知行: "子宮内胎児発育遅延(IUGR)と自己免疫異常" 産婦人科の実際. 45. 1443-1445 (1996)