1995 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス誘導を介したシスプラチン耐性卵巣癌治療の試み
Project/Area Number |
07671786
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
皆川 幸久 鳥取大学, 医学部・附属病院, 講師 (70190692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紀川 純三 鳥取大学, 医学部, 講師 (00177784)
寺川 直樹 鳥取大学, 医学部, 教授 (90163906)
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Keywords | アポトーシス / トポイソメラーゼ / シスプラチン耐性 / 卵巣癌 |
Research Abstract |
HeLa細胞とシスプラチン(CDDP)耐性HeLa細胞(HeLa/CDDP)、上皮性卵巣癌細胞株(TYK-nu,KF)およびそれらのCDDP耐性細胞株(TYK-nu(R),KFr)を用い実験を行い、以下のような知見を得た。1.MTT assayによる感受性試験-HeLa/CDDP細胞はTopoisomerase(Topo)I阻害剤(CPT-11の活性本体SN-38)に対して4倍強のcollateralsensitivityを示し、Topo II阻害剤(Etposide)に対してはHeLa細胞と差を認めなかった。KFr細胞のTopo阻害剤に対する感受性はKFr親株のそれと差を認めず、TYK-nu(R)細胞ではTopo I阻害剤に対する感受性はTYK-nu細胞のそれと差が無く、Topo II阻害剤に対しては交差耐性が示唆されたが、大きな差はないと考えられた。2.Isobologram法によるCDDPとTopo阻害剤との併用効果-Topo I阻害剤との併用がそれぞれの親細胞では相加効果を示すに止まったに対して、HeLa/CDDP細胞およびKFr細胞の2種のCDDP耐性細胞で、相乗効果が認められた。3.Topo活性-HeLa/CDDP細胞でHeLa細胞に比較して約4倍のTopo I活性の増強が認められたが、Topo II活性に差を認めなかった。KFr細胞ではKF細胞の約2倍のTopo I活性の増強が認められたが、同様にTopo II活性に差を認めなかった。4.Topo蛋白量-HeLa/CDDP細胞およびTYK-nu(R)細胞でそれぞれの親株に比してTopo I蛋白の発現増強が、KFr細胞ではTopo II蛋白の増強が示唆された。5.PCR-SSCP法によるp53遺伝子変異の検索-抽出DNA検体のexon5-8の増幅を終了し、現在、PCR産物の塩基配列をDirectsequencing法により解析中である。 HeLa/CDDP細胞のTopo I阻害剤に対する感受性の親細胞からの変化(collateralsensitivity)は、Topo I蛋白発現量の変化(発現増強)に起因したTopo活性の変化(増強)によるものと推測された。しかしながら、TYK-nu(R)細胞、KFr細胞については親細胞に対する感受性の変化と酵素活性ならびに蛋白発現量の変化との間に現在のところ明らかな相関関係を認めるには至っていない。CDDP耐性獲得におけるTopoの関与の多様性が示唆され、今後も検証していく。平成8年には上述の感受性の変化を考慮して、Topo阻害剤によるアポトーシスの誘発を試み、薬剤暴露前後でのTopo蛋白および、p53蛋白の発現量を比較して、in vitroにおけるCDDP獲得耐性との関連を総合的に検索する。
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Research Products
(1 results)