1997 Fiscal Year Annual Research Report
均衡型相互転座染色体保因男性の精子の分子細胞遺伝学的な検討
Project/Area Number |
07671788
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三春 範夫 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (30253082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 奈央 広島大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 精子 / fluorescense in situ hybridization / FISH / 均衡型転座 / ロバートソン転座 |
Research Abstract |
均衡型転座t(3;9)(q26.2;q32)保因男性(保因男性)についてfluorescense in situ hybridization(FISH)法を用いて染色体3番、9番の精子染色体構成および染色体18,X,Yの異常率を検討した。保因男性及び対照の正常核型男性の精子を採取後、スライドグラス上に固定しdithiothreitolで前処理しFISH法に供した。FISH法は、Oncor社のDNA probe:tel 3q(digoxigenin標識)、Vysis社のDNA probe:CEP3(spectrum orange標識),CEP9(spectrum orange標識+spectrum green標識)あるいはD18Z1(biotin標識+digoxigenin標識),DXZ1(digoxigenin標識),DYZ1(biotin標識)を同時に用いたtriplecolor法で行い、蛍光顕微鏡下にシグナルの判定を行った。その結果、保因男性では総数20098個の精子、対照男性では20203個の精子を分析し、そのうち20038個および20182個の精子について分析可能なシグナルを検出した。分析の結果、保因男性での交互分離、不均衡型分離(隣接1型分離、隣接2型分離、3:1型分離)で形成された精子の比率は、それぞれ52.5%、47.27%(33.7%、5.44%、5.93%)であり、一方、対照男性では交互分離の精子が98.7%、不均衡型分離の精子が1.1%であった。また、保因男性での18番,XX,XY,YY disomy精子の頻度は対照男性との間に有意差を認めなかった。以上より、均衡型転座t(3;9)(q26.2;q32)の保因男性における精子の約半数が隣接1型分離、隣接2型分離、3:1型分離で形成された不均衡型の染色体構造を持つことが明らかになり、均衡型転座剤にみられる高率の流産はこれらの精子が受精した結果、生じたものであることが示された。また、interchromosomal effectは認められなかった。
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