1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト精子プロゲステロン結合能と受精能との関連についての研究
Project/Area Number |
07671793
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
矢野 樹理 愛媛大学, 医学部, 助教授 (90182386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 敬介 愛媛大学, 医学部・附属病院, 医員
谷口 文章 愛媛大学, 医学部, 助手 (80263929)
山中 研二 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (10263930)
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Keywords | 精子 / プロゲステロン / カルシウム / 先体反応 / 体外受精 |
Research Abstract |
[研究内容]ヒト精子におけるprogesterone(P)レセプターの発現とその受精能力への関連性を明らかとする目的から蛍光Pリガンド(P-BSA-FITC9をにてヒト運動精子を蛍光染色し,落射蛍光顕微鏡ならびにフローサイトメトリー法を用いて以下の検討を行った.1)ヒト運動精子におけるP結合部位ならびに結合様式.2)精子無力症におけるP結合部位発現精子数/全運動精子数比率(%PB)と健常男性精子の%PBとの比較.3)精子無力症における%PBと先体反応率(%AR;先体反応完了精子数/全運動精子数比率)の比較.4)%PBと体外受精における受精率との関連性.次に自動吸光度測定装置(イムノリーダー)を用いて生存細胞数の定量的測定を行うMTTアッセイ法を新たな精子機能検査として応用する目的より,5)ヒト精子に対するMTTの至適作用時間の設定.及び6)アッセイ系に用いる至適精子濃度の設定に関する基礎的検討を行った.[結果]1)P-BSA-FITCにより精子先体膜の全体あるいは赤道部が蛍光染色された.このP-BSA-FITCの精子先体膜に対する結合はP受容体拮抗剤;RU38486により用量依存性に抑制された.2)精子無力症群の%PBは17.6±10.7%と健常弾性群の30.2±9.3%に比し有意な低値を示した(p<0.01).3)精子無力症例より回収した運動精子における%ARと%PBとの間に有意な正の相関が認められた(r=0.7).4)体外受精における受精率と%PBとの間に有意な正の相関が認められた(r=0.4).5)MTTの精子への取り込み量は1〜4時間までは経時的に増加したが,以後は変化を認めなかった.6)10^4/ml〜10^7/mlの精子濃度における吸光度曲線は10^6から10^7/mlにおいて最も急速に上昇した.5)6)よりMTTの作用時間を4時間、精子濃度を10^6/mlとするアッセイ条件を設定した.[まとめ]P結合部位は先体膜表面に局在することを確認し,精子先体膜へのPの結合が受容体を介する特異的な結合であり,受精の際に不可欠な精子先体反応と強く関連していることを立証した.また%PBの算定は体外受精における受精予知に有用であることが示唆された。またMTTアッセイ法を用いた精子生存率判定は新たな精子機能検査の1つと成りうることが示唆された。
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