1996 Fiscal Year Annual Research Report
思春期発来過程におけるメラトニンの病態・生理学的役割に関する研究
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07671796
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
岡谷 裕二 高知医科大学, 医学部, 助教授 (70145142)
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Keywords | メラトニン / エストロゲン / 松果体 / 思春期 |
Research Abstract |
思春期発来過程で、性機能系が発育発達する段階での松果体臓器のmelatonin産生動態を特にGonadal-pineal feedback機構に注目し検討した。ラットにおいては生後6週齢で初回排卵が認められるが、melatonin産生能は生後から膣開口期の6週にむけて増量し、以後排卵周期の確立の過程で低下することが示された。一方、6週齢で卵巣を摘除した群では、排卵周期確立過程でのmelatoninの減少はみられず、逆に著明な増加が示された。さらに、卵巣摘除ラットに外因性にエストロゲンを負荷することで正常ラットと同一のmelatonin産生動態を再現することが可能であった。しかし、プロゲステロン投与では明らかな影響は認められなかった。従って、排卵周期確立周辺過程でのmelatonin産生能は卵巣より分泌されるエストロゲンにより強く調節されていることが明らかとなった。 Melatonin生合成では、N-acdetyltransferase(NAT)とHydroxy-O-methyltransferase(HIOMT)がKey enzymeであるが、melatonin産生能は正常ラット、卵巣摘除ラット、エストロゲン負荷ラット共に、NAT活性に強く相関することから、NAT活性に規制されていることが明らかとなった。又、エストロゲン負荷ラットにおいては、少量のエストロゲンではNAT活性だけが抑制され、大量のエストロゲン負荷によりNAT,HIOMT活性共に抑制されることからエストロゲンに対する感受性には両酵素間で明らかな差のあることが示された。 一方、melatonin産生を刺激するノルエピネフリン活性は、生後4週ですでに成熟レベルに達すること、又、卵巣摘除およびエストロゲン負荷により明らかな影響は認められなかった。今回の一連の研究から、性機能系の発達過程でのmelatonin産生能は、卵巣より分泌の増量がみられるエストロゲンがNAT活性を調節することで強く影響していることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yuji Okatani: "Enhansed Nocturnal Melatonin Secretion in Women with Functional Secondary Amenorrhea : Relationship to Opioid System and Endogenous Estrogen Levels." Hormon Reserch. 43. 194-199 (1995)
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[Publications] 岡谷 裕二: "メラトニンと性機能障害" 産科と婦人科. 62・4. 487-494 (1995)
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[Publications] 岡谷 裕二: "メラトニンと生殖生理" Wave on OB-GY. 45. 18-21 (1995)
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[Publications] Yuji Okatani: "Nocturnal changes in pineal melatonin synthesis during puberty : Relation to estrogen and progesterone levels in female rats." Journal of pineal research. 22. 33-41 (1997)