1996 Fiscal Year Annual Research Report
各種発癌プロモーターによる胞状奇胎由来培養細胞の発癌課程における分子生物学的分析
Project/Area Number |
07671825
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Research Institution | TOKAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
見常 多喜子 東海大学, 医学部, 助教授 (70096220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠塚 孝男 東海大学, 医学部, 助教授 (30110901)
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Keywords | 全胞状奇胎 / 培養細胞 / SCIDマウス / RT-PCR |
Research Abstract |
われわれは、絨毛性疾患の発癌に関する研究において絨毛癌の潜在的癌細胞と考えらている全胞状奇胎の作製を試みてきた。現在まで、76回の胞状奇胎組織の培養を施行し、7回の長期継代に成功した。しかし、これの培養細胞は増殖が緩慢で3〜4年のlife spanをもち、最終的にはその増殖を停止してしまった。今回、無月経9週の全胞状奇胎組織から得られた培養細胞(BM-72)は以前の培養細胞とは、その形態、増殖能に差があり、SCIDマウスへの移植による腫瘍形成能も観察された。しかも、発癌プロモーター(TPA)、2週間処理細胞でのSCIDマウスへの移植ではプロモーターの濃度依存性に腫瘍増殖能に差が認められた。そこで、発癌プロモーター処理のどの時点でどんな遺伝子の変化が起きるのであろうかをRNA arbitrary primed PCR(RAP-PCR)differential display法を使用して差異があればその異常部分のゲノムの検出、単離、同定をすることを目的とした。培養細胞(BM-72)に発癌プロモーター(TPA)を0.1,1.0,10,100pg/ml2週間添加処理したときに発現が誘導されると思われるcDNAをアガロース上に展開させて、TPA濃度間のバンドに差を認めるかをみると、ある3種の合成ヌクレオチドランダムプライマーの組み合わせの結果から2個のcDNA断片がTPA100pg/mlにおいて他のTPA濃度のバンドと異なり発現が抑制されているのが見られた。さらに、新しい2種類の培養細胞(BM-75,BM-76)もその細胞形態、増殖能ともBM-72細胞に似ているが、SCIDマウスへの移植については過去の胞状奇胎培養細胞と同様に腫瘍形成能は観察されなかった。BM-75細胞についての発癌プロモーター処理後のRAP-PCRの検索の結果でも、TPA10,10pg/mlにおいてcDNAの高発現並びに抑制がみられた。
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