1996 Fiscal Year Annual Research Report
母体運動負荷による胎児well beingの評価(胎児循環制御機構からの検討)
Project/Area Number |
07671830
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
朝倉 啓文 日本医科大学, 医学部, 助教授 (30167879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 稔 日本医科大学, 医学部, 助手 (50256971)
越野 立夫 日本医科大学, 医学部, 教授 (80089747)
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Keywords | 胎児 / 母体運動 / 胎児心機能 / 循環動態 / 超音波断層法 / VAST |
Research Abstract |
産科的に異常のない妊娠20週から32週のボランティア妊娠18例を対象に、自転車ergometerによる運動負荷を行い、胎児循環変化を平成7年度に行った妊娠32週以降の胎児と比較した。なお、運動強度は平成7年度の検討から60%maximal HR(≒60%VO_2 max)を目標とし、同一条件を設定した。胎児循環動態の指標には臍帯動脈、胎児中大脳動脈、胎児下行大動脈、胎児外腸骨動脈の血流速度波形の測定より算出したresistance index(RI)、胎児心拍数(FHR)ならびにB-modeによる胎児心機能計測から、ejectiontime(ET)、filling time(FT)、stroke volume(SV)、cardiac output(CO)を算出し使用した。 (1)妊娠32週以降の母体運動強度が平均58.5%maximal HRに至った運動条件では、平均64.1%maximal HRとなり、妊娠週数が若いほど、運動強度が増加する傾向であった。 (2)FHRは平均150.3bpmから運動負荷により平均152.5bpmと変動なく、ET、FTも変動を認めなかった。 (3)妊娠32週以降の胎児ではSV、COが運動負荷により増加したが(p<0.05)、今回の対象ではいずれも有意な変化を認めなかった。しかし、母体運動強度とCOの運動による変化率には正の相関が認められ、わずかな変化でも母体運動と胎児循環が関連していることが推察された。 (4)妊娠32週以降の胎児では運動中のCOと中大脳動脈RIには正、外腸骨動脈RIには負の相関が認められたが(p<0.05)、今回の対象では有意な関係は認められなかった。 妊娠中期(20週から32週)では後期(32週以降)に比べ、同一運動を行った場合、母体運動強度は増加する傾向であった。しかし、胎児responceは低く、胎児内の血流分配からもその循環制御機構の未熟性が推察された。
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