1995 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠と接着分子-流産、妊娠中毒症の病態形成における接着分子の役割について
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07671831
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
竹下 俊行 日本医科大学, 医学部, 講師 (60188175)
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Keywords | 接着分子 / ICAM-1 / 流産 / 妊娠中毒症 / IUGR / 免疫 / NK細胞 |
Research Abstract |
妊娠中毒症と接着分子 【目的】 妊娠中毒症が一種の免疫学的適応不全の状態を反映するものとの観点から、免疫担当細胞と血管内皮細胞との相互作用の妊娠中毒症の病態形成に及ぼす影響を検討した。今回は、NK細胞と血管内皮細胞との相互作用に焦点をあて、妊娠中毒症重症例における末梢血NK細胞活性と、血管内皮細胞上に高頻度に表出される接着分子,ICAM-1の発現状況を観察した。 【結果】 1)NK細胞活性は妊娠中毒症重症例で、対照群に比し高値をとる傾向が認められた。 2)妊娠中毒症の3徴の中では蛋白尿との関連が最も強く、1000mg/dl以上の蛋白尿を伴う症例の末梢血NK活性は有意に高値を示した。 3)妊娠中毒症重症例では、胎内発育遅延(IUGR)を伴うことが多いが、NK活性はIUGRを伴った妊娠中毒症例で有意に高かった。 4)培養血管内皮細胞を20%患者血清の存在下で培養し,ICAM-1発現状況をFlow Cytometryで観察すると、妊娠中毒症患者血清の添加は血管内皮細胞上のICAM-1発現を増強させることが明らかとなった。 5)mean fluorescence intensityで比較するとIUGRを伴った妊娠中毒症群で有意に高かった。 6)同時に採取した患者末梢血のNK活性とICAM-1発現は,有意の相関を示した。 【結論】 妊娠中毒症重症患者血清中には血管内皮細胞上のICAM-1発現を増強させる因子が存在すると考えられた.血管内皮細胞上のICAM-1発現の増強は,白血球,リンパ球,特にNK細胞などの細胞傷害活性をもった細胞との接着の機会を増加させ,血管内皮細胞障害,ひいては妊娠中毒症へと進展させて行く可能性が示唆された.
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Research Products
(2 results)