Research Abstract |
CDDP耐性卵巣癌細胞培養株を用いてin vitro,in vivo感受性試験を施行。その結果に基づいて、臨床試験をpreliminaryに施行した。結果は以下の如くである。 1)In vitro感受性試験: a)漿液性腺癌(acquired resistance):IC_<50>(ng/ml)は,SN-38(0.3),MMC(1.2),ADM(5.8),CDDP(40.0),ETOPO(45.0),CPT-11(550)の順であった。 b)明細胞腺癌(intrinsic resistance):IC_<50>(ng/ml)は,SN-38(0.5),MMC(8.1),ADM(10.7),CDDP(110.0),ETOPO(110),CPT-11(410)の順であった。 c)粘液性腺癌(intrinsic resistance):IC_<50>(ng/ml)は,SN-38(2.0),MMC(25.0),ADM(42.0),ETOPO(150.0),CDDP(570.0),CPT-11(3700)の順であった。 以上の結果は再現性があり、acquired,intrinsicともに、CPT-11,MMCが有望と考えられた。 2)In vivo腫瘍増殖抑制試験:漿液性,明細胞,粘液性腺癌のいずれの系に於いても、MMCが最も抗腫瘍効果が強力であった。次いで、CPT-11,ADMが有効であった。 3)臨床試験:これまで、卵巣癌は組織型の如何に拘わらず、CDDP-based regmenが投与されてきた。前記成績に基づき、先ず明細胞腺癌に対して、以下の治療が患者の同意を得た上で行われた。 a)CPT-11単剤:150mg/m^2(iv),day 1,15,29による明細胞腺癌18症例の成績:NC10,PD8例。 b)MMC単剤:7mg/m^2,q3 wksによる明細胞腺癌21症例の成績:3PR,12NC,6PD。 c)CPT-11/MMC併用:上記の如く、単剤で十分な効果が得られないため併用治験を施行。明細胞腺癌10症例に対して、CR4,PR2,NC2,PD2例。 4)研究成果の意義:国内外を通じて、他の組織型の混在がない純粋な明細胞腺癌に対して、化学療法が著効した症例は世界で1例も報告されていない。前述した如く、CPT-11/MMCの併用により、10例中4例で腫瘍の完全消失を認めた。内、3例で化療後手術を施行し、pathological CRを確認している。4例の効果持続時間は、8,16,19,24ヶ月であり、延命効果も認められている。その成果は、第19回国際化学療法学会(oral presentation)で発表、1996年5月ASCO(AmericanSociety of Clinical Oncology)で発表予定。
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