1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト良性及び悪性扁平上皮核内におけるイノシトール三燐酸レセププターの発現とその意義
Project/Area Number |
07671858
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
原田 孝之 島根医科大学, 医学部, 教授 (90112135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川内 秀之 島根医科大学, 医学部, 教授 (50161279)
柴 宏巳 島根医科大学, 医学部, 助手 (30281760)
佐野 啓介 島根医科大学, 医学部, 助手 (10263542)
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Keywords | イノシトール三燐酸受容体 / 扁平上皮細胞 / 免疫組織細胞化学 |
Research Abstract |
イノシトール三燐酸(IP3)は細胞内シグナル伝達におけるセカンドメッセンジャーとして細胞内Ca+の調節に関与している。近年イノシトール三燐酸受容体(IP3-R)に対する単クローナル抗体が作製された以来IP3-Rの細胞内における分布が次第に明らかになってきたが、ヒト組織における分布および細胞機能との関連はまだほとんど明らかにされていないのが現状である。今回の研究では主としてラット抗マウス単クローナル抗体3種(10A6,4C11,18A10)を用いてそのヒト正常皮膚上皮、新鮮扁平上皮癌組織、及び種々の扁平上皮癌培養細胞株に対する交差反応性について免疫組織化学的に検討を加えた。その結果、3種の抗体のうち10A6単クローナル抗体が正常皮膚において角化層を除く全層の扁平上皮細胞と免疫学的に反応を示し、またほとんどすべての扁平上皮癌細胞の核内に10A6に対応する抗原の発現がみられた。共焦点レーザー顕微鏡下にこの10A6対応抗原の観察を行ったところ、核小体を除く核内にびまん性に発現がみられた。さらにこの染色強度に関しては培養細胞株間で差異がみられたものの、原発部位や分化度との明らかな関連は認められなかった。この10A6対応抗原のさらに詳細な細胞内局在の解析を免疫染色後の電子顕微鏡学的観察によって試みたが、局在部位について一定の結論を得ることはできなかった。この10A6対応抗原が果たしてIP3-Rそのものであるか否かが重要な問題となってくるが、これについても十分な確認ができず、今後の課題となった。
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