1995 Fiscal Year Annual Research Report
内リンパ産生過剰が及ぼす内耳機能への影響に関する研究
Project/Area Number |
07671863
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
竹田 泰三 高知医科大学, 医学部, 助教授 (50115763)
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Keywords | 内リンパ水腫 / Negative EP / DP-OAE |
Research Abstract |
内リンパ管閉塞による貯留水腫に内リンパ等価液を注入し、慢性内リンパ水腫に内リンパ産生過剰が生じた状態を作成し、このモデル動物の内耳機能について検討した。1)慢性内リンパ水腫動物は内リンパ嚢を硬膜外より電気的に焼灼して作成した。内リンパ嚢焼灼後二ヶ月を経過すると、Paparellaの分類で中等度以上の内リンパ水腫が形成された。この程度の慢性内リンパ水腫になると、negative EPは人工内リンパ液を内リンパ腔に注入する以前に既に低下していた。人工内リンパ液を注入すると、negative EPはさらに幾分減少するが、その程度は軽度であった。2)慢性内リンパ水腫動物のpositive EP及びAP電位の振幅は低下していることは既に知られているが、本実験でも同様のことが確認された。このpositive EP及びAP振幅の低下は、2μlの人工内リンパ液の注入では変化がないことより、水腫による内耳の慢性変化を反映しているものと考えた。3)SP電位に関しては、内リンパ嚢焼灼による慢性内リンパ水腫においても、また、人工内リンパ液注入による内リンパ水腫動物でも、正常動物と比較して著変はなかった。4)CMは慢性内リンパ水腫動物ではかなり低下しており、現時点ではdelayed CMのを記録はできなかった。5)誘発耳音響放射の記録を試みたが、クリックで誘発される耳音響放射は、現時点では、慢性内リンパ水腫では記録できなかった。歪み成分耳音響放射(DP-OAE)は、人工内リンパ水腫注入による急性内リンパ水腫でも、内リンパ嚢焼灼による慢性内リンパ水腫でも、記録可能であった。内リンパ水腫作成の方法によらず、低音域のDP-OAEの振幅が低下してくる傾向が見られた。この音域は暗騒音の中心部位であるので今後慎重な検討が必要であるが、水腫は2kHz以下のDP-OAEの開発を抑制する可能性がある。
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