1996 Fiscal Year Annual Research Report
内耳病態におけるフリーラジカルの関与とその防御因子の臨床応用に関する実験的研究
Project/Area Number |
07671876
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山根 英雄 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (60145787)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 武志 大阪市立大学, 医学部, 助手 (60271194)
井口 広義 大阪市立大学, 医学部, 助手 (70271195)
|
Keywords | 内耳 / アミノ配糖体 / フリーラジカル / NK細胞 / BRM |
Research Abstract |
モルモットに120-130dBの強大音響を3時間暴露すると血管条血流の停滞とその後の再灌流が生ずるが,これらの事象にフリーラジカルの出現、消失が随伴しているのが観察された。すなわち、血管条血流の停滞に一致して、血管条辺縁細胞の内リンパ腔側膜面にフリーラジカルが出現し、その後消失するが、血管条血流の再開とともに再び同部の現れていた。これは他臓器でも報告されている虚血-再灌流により生じたフリーラジカルが臓器障害を起こすように、内耳でも同様の機転で音響による内耳障害が生じている可能性を示すものである。 モルモットないカナマイシン投与による内耳障害を惹起させ、内耳障害とフリーラジカルの関係を検討したところ、カナマイシンによる外有毛細胞障害にフリーラジカルが関与していることが判明した。またこのフリーラジカルの外有毛細胞での発生はカナマイシンの内耳移行と密接に関係していた。 内耳の恒常性維持には特異的防御機構(免疫機構)発現以前の非特異的防御機構の役割が大事と思われる。内耳は侵入異物に対し即座に対応出来る能力を有するか否かを検討するため、モルモット内耳にK562細胞を接種し、その内耳での動態を経時的に観察した。その結果、循環血流中のNK細胞の内耳への出現は他臓器での出現に比べて遅れることが判明した。この出現の遅れは内耳は感染に対して初期防御機構が弱いことを示すものである。また、内耳に在住するNK細胞はほとんどなく、少数のマクロファージのみが鼓室階膜面に存在することが確認された。この内耳での非特異的防御機構を亢進させるため、モルモット内耳にOK432(ピシバニール)を投与したところ、他臓器同様多数のマクロファージが投与2日目より内耳に出現した。この事実は、内耳が種々のBiological response modifier (BRM)に反応出来る器官であることを示唆しており、今後の内耳感染治療の研究に繋がるものと期待される。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] H. Yamane: "Natural killer cell response in the inner ear" Acta Otolaryngol (Stockh). 115. 738-741 (1995)
-
[Publications] H. Yamane: "Localization of nitric oxide synthase and tropomyosin in the rat cochlear lateral wall : Autoregulation medrouism of strial blood flow" Sendai Ear Symposium '96. 6. 23-27 (1996)
-
[Publications] M. Takayama: "Emergence of free radical in the cochlea by aminoglycoside treatment" Sendai Ear Symposium '96. 6. 59-65 (1996)
-
[Publications] 井口広義: "内耳感染に対する初期防御担当細胞" Equilibrium Res. 55 (4). 349-354 (1996)