1996 Fiscal Year Annual Research Report
Nitric oxideの網膜虚血における影響に関する電気生理学的研究
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07671902
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
津山 嘉彦 千葉大学, 医学部, 助手 (50210571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝田 淳 千葉大学, 医学部, 助手 (10239262)
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Keywords | 一酸化窒素 / 網膜虚血 / 網膜電図 / L-アルギニン / L-NAME / ニトロプルシドナトリウム |
Research Abstract |
平成7年度までに我々は外因性に硝子体内に注入したNO(sodium nitroprusside dihydrate(SNP))により、家兎の網膜虚血モデルにおいてERGの回復過程が優位に良好であることを証明した。 本年度はNOの前駆体L-arginine(L-Arg)を内因性NO産生促進のために硝子体内投与した。一方、NO合成酵素阻害剤nitro-L-arginine methyl ester hydrochloride(L-NAME)を硝子体内投与しNO産生阻害のもとで、虚血前の状態及び再潅流後の網膜機能の回復過程をERGを通して観察した。その結果、潅流液のみを投与したコントロール群ではb波の回復率は再疎通後4時間後に36.5±2.5%(平均±SEM)であったのに対し、L-Argの投与群では46.5±3.1%と有意に上昇し、その一方、L-NAMEの投与群では37.7±1.4%と有意差が検出されなかった。以上より、L-Arg投与による内因性NOの作用もSNPとして外因的に投与されたNOと同様であることが解かった。また、L-NAMEの硝子体注入による、NOS阻害では、b波の回復過程に影響が見られなかった。b波は網膜のミュラー細胞から生じる電位であり、網膜機能の指標の一つとなり得る。これらの結果を考慮すると、虚血前に硝子体に注入することにより、NOは網膜の障害に対する保護作用を持つと考えられる。 NOの作用は多種報告されているが、今回の実験で虚血性疾患に対して、NOの保護効果が応用できる可能性が示唆された。
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