1997 Fiscal Year Annual Research Report
難治性網膜剥離の治療に用いられる硝子体代用物の網膜に対する影響
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07671912
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
土井 素明 三重大学, 医学部・附属病院, 講師 (80227694)
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Keywords | シリコンオイル / フルオロシリコンオイル / シリコン・フルオロシリコンコーポリマーオイル / レチノイン酸 / パ-フルオロプロパンガス / 網膜 / 硝子体手術 |
Research Abstract |
シリコンオイル、フルオロシリコンオイル、シリコン・フルオロシリコンコーポリマーオイル、液体パ-フルオロカーボンは難治性網膜剥離の治療で硝子体手術を行う時に手術器具として用いられたり、術後のタンポナ-デ物質として用いられてきた。また、六フッ化硫黄ガスやパ-フルオロプロパンガスも網膜タンポナ-デ物質として用いられてきた。この研究では家兎眼を用いることにより以下に示す従来知られていなかった知見を得た。最近下方網膜の難治性網膜剥離に対し使用されることがあるシリコンフルオロシリコンコーポリマーオイルは水より重く粘弾性か比較的低い。このオイルでは硝子体注入後2ヵ月までは下方網膜の外網状層の消失を見ることは従来より知られていたが、今回の研究で、それ以降は乳化したオイルが単核細胞に貧食されている所見や下方網膜の視細胞の異常が見られることか明らかになった。また、増殖性網膜症か高頻度で起きるようにした家兎眼において、このオイルにレチノイン酸を溶解し硝子体腔に注入することにより、このオイルを単独に注入したときと比べ増殖性網膜症になる頻度が有意に減少することも明らかになった。さらには、水より重く粘弾性の高いフルオロシリコンオイルにおいて、硝子体注入後に下方網膜に外網状層の消失を起こすことを初めて示した。また、最近、黄斑円孔に対する硝子体手術後の原因不明の下方視野欠損の原因が盛んに現在議論されている。今まで硝子体手術に使用するガスは網膜に対して毒性を持たないとされていたが、今回の研究で硝子体腔内に注入するガスにより上方網膜に病理組織学的な変化が起きることをはじめて示し、ガスが原因不明の下方視野欠損の原因として考えられることを示した。
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[Publications] Motoaki Doi et al.: "Histopathology of rabbit eyes with silicone-fluorosilicone copolymer oil as six manths internal retinal tamponade." Expenimental Eye Pesearch. 61. 469-478 (1995)
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[Publications] Masaaki Nakagawa,Motoaki Doi et.al.: "Retinoic acid in silicone and silicon-fluorosilicone copolymeroils in a rabbit model of PVR." Investigative Opltthalmology and Visual Science. 36. 2388-2395 (1995)