1996 Fiscal Year Annual Research Report
インドシアニングリーン(ICG)蛍光眼底造影の読影法に関する基礎的研究
Project/Area Number |
07671932
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
米谷 新 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (40143234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 圭介 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90251090)
大木 隆太郎 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (00194093)
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Keywords | インドシアニングリーン / 蛍光眼底造影 / 血清蛋白 / 硝子体フルオロフォトメータ |
Research Abstract |
本研究の目的はインドシアニングリーン(ICG)による蛍光眼底造影法の読影の基礎を確立するところにある。特にICGの病的血液網膜柵での透過性は、従来からのフルオレセインソジウムとは異なることが指摘されている。そのため、光凝固眼、実験的脈絡膜新生血管、網膜血管炎などの各種病的血液柵の破綻部位での透過性につきICG造影所見と各種造影剤の所見を比較した。また、その造影所見の差異と組織病理所見との関係についても検討した。その結果、脈絡膜新生血管はその組織所見において未熟で活動性が高いものほど透過性が大きいことが証明された。これは従来のフルオレセインソジウムによる蛍光造影ではみられなかった知見であり、臨床的に脈絡膜新生血管の活動性の指標にICG造影がなりうることが示唆された。また、外方血液柵の破綻である光凝固眼では分子量4万以上の蛍光色素は透過しなかったが、内方血液柵の破綻である網膜血管炎では分子量15万でも漏出しうるなど、各種病的状態において透過しうる分子量が異なることが明らかとされた。これに対し、ICGは双方とも透過せず、血漿中の蛋白とICGの関係の重要性が改めて認識された。この点に関し、生化学的検索からICGが血中のリポ蛋白(分子量40万以上)と結合し、その動態を反映していることが証明された。これらの基礎的事実を踏まえ、臨床的にはこのICG造影による脈絡膜内蛍光漏出を定量化することを試みた。TOPCON社製IMAGEnetの画像解析プログラムを用い、多発性後極部網膜色素上皮症の脈絡膜内の透過性亢進を定量的に正常対照者と比較したところ、有意に蛍光輝度が高かった。このことから、多発性後極部網膜色素上皮症は従来の疾患概念と異なり、脈絡膜原発の疾患であることが示された。このように、各種眼底疾患の病態生理を新たな側面から解釈することが可能となった。
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