1996 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲的小児消化管運動(経皮的胃腸電気活動)測定の研究(基礎的検討及び臨床応用)
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07671947
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岩渕 眞 新潟大学, 医学部, 教授 (00018326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 実 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (10251802)
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Keywords | 経皮的胃腸電気活動 / 胃電図 / 食道閉鎖症 / 小児 |
Research Abstract |
昨年度は非侵襲的消化管運動測定法の1つである胃電図につき、その小児における誘導方法を含めた測定条件の設定、様々な種類の試験食投与下における食後期胃運動の測定及びその解析結果につき報告した。本年度はその臨床応用として術後様々な上部消化管愁訴を呈する食道閉鎖症に焦点を絞り非侵襲的検査法である胃電図検査を用いそれらの胃運動につき詳細な検討を行った。対象は食道閉鎖術後群13例(平均年齢7.6歳)と対象群5例(平均8.2歳)とした。昨年度決定した測定条件下に空腹期及び食後期それぞれ約30分ずつ無鎮静下に導出記録した。試験食はLow Residue Diet(Clinimeal,Eizai,Japan)を1kcal/mlの濃度で10kcal/kgbodyweight投与した。データレコーダーに記録した信号はA-D変換後パーソナルコンピューターでMEM法を用い周波数解析し、ランニングスペクトルアレイ、空腹期及び食後期のスペクトルの平均加算を作製しパワー比も算出した。ピーク周波数の変動を検討するため3cpm付近のピーク周波数の標準偏差を変動係数とした。食道閉鎖術後群13例中5例にdysrhythmia(DR)を認めうち3例は食事に関係ないDRで2例は食後期のみのDRであった。DR例に消化管透視を行うと3例が軽度の胃食道逆流例であった。DRを伴う術後群はDRを伴わない術後群に比し平均-ク周波数は有意に高値であった。ピーク周波数の変動係数ではDRを伴う群がDRを伴わない群に比し有意に高値を示した。パワー比では食道閉鎖術後群が対照群に比し有意に低値を示した。これらの結果よりDRを認めるものに胃運動障害がある可能性があり、更に食道閉鎖術後例中に先天的にDR例が含まれている可能性が示唆された。またDR例ではDRを認めない例に比し平均ピーク周波数も有意に高値だったことも考えると食道閉鎖症の一部の症例には内因性抑制神経ないし外因性自律神経抑制の欠如といった神経支配異常が存在するのかもしれない。いずれにせよDRは胃のneuromuscular dysfunctionのマーカーとなりうると考えられ、これらより小児における非侵襲的な胃電図の意義は十分あるものと考えられた。
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Research Products
(1 results)