1995 Fiscal Year Annual Research Report
歯胚の発生に伴う細胞質シアリダーゼの消失:酵素消失と上皮内微細構造変化との関連
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07671961
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋田 博敏 東北大学, 歯学部, 助手 (10108540)
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Keywords | 細胞質シアリダーゼ / 細胞内微細構造 / 上皮性歯胚 / 口腔粘膜上皮 / 遺伝子組織化学 / 免疫組織化学 / ラット |
Research Abstract |
(研究目的)シアロ複合糖質の代謝酵素の一つである細胞質シアリダーゼ(以下、本酵素と略す)の生物学的意義を解明する一助として本研究を行った。前年度の研究で、本酵素が免疫組織化学的に認められなくなる部位を、口腔粘膜上皮から上皮性歯胚への移行(分化)過程で発見した。本研究では、その部位を、ラット胎生期歯胚(第一臼歯)において、免疫および遺伝子組織化学的手法により正確に把握し、本酵素を発現している細胞と発現していない細胞とを比較し、想定される形態学的な相違を電子顕微鏡により明らかにすることを目的とした。 (研究結果)本酵素は、免疫組織化学的に口腔粘膜上皮、歯堤とそれに続く上皮性歯胚の一部に検出されたが、上皮性歯胚の中でもエナメル髄、内エナメル上皮、および内エナメル上皮側の外エナメル上皮には検出されなかった。本酵素のメッセンジャーRNA(mRNA)の発現は、エナメル髄を除く上皮性歯胚と口腔粘膜上皮とに明らかに認められた。エナメル髄では明確でなかった(有っても極めて弱いと思われる)。すなわち、エナメル髄を除く上皮細胞は、本酵素のmRNAを同じ程度に発現しているが、酵素含有量では、内エナメル上皮と外エナメル上皮の一部の細胞で少ないことが判明した。本酵素量の多少に伴う電子顕微鏡レベルの微細構造変化は、質的には定かでなかった(まだ形態計測をしていないので、定量的な変化は不明であるが)。 (考察、結論)本酵素の発現に付随する形態変化は、以下に述べる3つの部位の細胞間で細胞レベルでの微細構造を対比すれば明らかになる可能性がある。3つの部位とは、歯堤および隣接する口腔粘膜上皮(本酵素が免疫組織化学的にも遺伝子組織化学的にも検出された部位)、内エナメル上皮(本酵素が免疫組織化学的には検出されなかったが、遺伝子組織化学的には検出された部位)、エナメル髄(本酵素の発現が明確でない部位)である。
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