1996 Fiscal Year Annual Research Report
扁平上皮癌の進展過程における接着分子の異常と間質の形態的,機能的変化に関する研究
Project/Area Number |
07671972
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小川 郁子 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70136092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 睦美 広島大学, 歯学部, 助手 (50169265)
伊東 博司 広島大学, 歯学部, 助手 (20184682)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / TGF-β / bcl-2蛋白 / plasminogen activator |
Research Abstract |
扁平上皮癌の発生・進展に関わる因子について腫瘍実質細胞と間質の両面から検討することを目的とし、本年度は主にtransforming growth factor (TGF)-β、bcl-2とplasminogen activator (PA)の発現について検索を加え、以下の知見を得た。 1. TGF-βの発現と局在を免疫組織化学的に検索した結果、TGF-βは主に線維芽細胞に強く発現され、正常粘膜上皮は陰性であったが、極く一部の癌細胞にはその局在が認められた。従って、間質の繊維化や血管新生に関わるTGF-βは主に間質の線維芽細胞に由来することが示唆された。 2.細胞のapoptosisを抑制することにより癌化や治療に対する抵抗性の獲得に関わるとされるbcl-2遺伝子産物について、その発現を舌癌を対象として検索し、特に放射線治療効果との関連性を検討した。その結果、放射線治療効果の低かった群では高かった群に比べてbcl-2蛋白の発現が高頻度にみられ、治療後の残存・再発・転移巣ではさらに陽性率が高かったことより、bcl-2遺伝子の発現が扁平上皮癌細胞の放射線抵抗性に関与している可能性がうかがわれた。 3.細胞間マトリックスの破壊に関与するPAの発現を免疫組織化学的に検索し、癌組織内での局在を調べた結果、癌組織の主に先端部で癌細胞とmacrophageに強く発現されていることが明らかとなった。 4.前年度の予備的研究で唾液腺腫瘍において発現の減弱と転移との関連が示唆されたnm23-H1遺伝子について扁平上皮癌で検討したが、そのような関連は見出せなかった。
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