1995 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨組織におけるRGD構造を持つコラーゲン結合蛋白の発現と機能
Project/Area Number |
07672016
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
能城 光秀 広島大学, 歯学部, 助教授 (00144858)
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Keywords | コラーゲン / インテグリン認識部位 / 軟骨基質 / クローニング / 軟骨細胞培養 / アンチセンスオリゴマー |
Research Abstract |
本研究は,コラーゲン線維に結合してコラーゲンと細胞との相互作用を仲介する蛋白の探求を目的としており,今年度は以下のことを明らかにした。 (1)まず軟骨からコラーゲンを含む気質線維を分離し,これを材料として64-66kDaのコラーゲン結合蛋白RGD-CAPを得た。この蛋白のN末端アミノ酸配列を決定した。 (2)以上の情報をもとに,RGD-CAPのcDNAクローニングを行い,全塩基配列を決定した。その結果,RGD-CAPのcDNAは683個のアミノ酸に翻訳され,4つの繰り返し構造を持ち,またC端近傍にはインテグリン認識部位として知られるRGD配列が存在した。 (3)さらにRGD-CAP mRNAは,脳以外の軟骨を含む多くの組織で発現していた。また軟骨細胞培養系で,TGF-βによりRGD-CAP mRNAが24-48時間後に誘導された。 (4)大腸菌で発現させた組み換えRGD-CAPおよび組織より抽出したRGD-CAPをコラーゲンアフィニテイーゲルカラムにかけると,両者はいずれもI,II,IIIおよびIV型コラーゲン強く結合して,1-1.5MのNaClでは溶出せず,7M尿素で溶出した。大多数の軟骨基質分子はコラーゲンカラムから0.2M以下のNaClで溶出されることより,RGD-CAPのコラーゲンへの結合能は非常に強力であることが判明した。 (5)軟骨細胞培養系で,RGD-CAPのmRNAアンチセンスオリゴマーは細胞形態を球形に変化させた。一方,対照としたセンスオリゴマー添加群あるいは無添加群では細胞は培養皿に接着,伸展し,多角形状となった。 以上の結果より,RGD-CAPはコラーゲン線維に非常に強固に結合し,かつ細胞伸展を制御する新しい接着因子である可能性が示唆された。
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[Publications] Shiba,H. et. al.: "Effects of Basic Fibroblast Growth Factor on Osteonectin(SPARC) Synthesis Alkaline. Phosphatase Activity, Their mRNA Levels and Mineralization in cultures of Human Pulp Cells." Devel. Biol.170. 457-466 (1995)
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[Publications] Jikko, A. et. al.: "Effects of Cyclic Adenosine 3'5'-Monophosphate on Chondrocyte Terminal Differentiation and Cartilage-Matrix Calcification" Endocrinol.137. 122-128 (1995)
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[Publications] Nakamura, S. et al.: "Enhancement of SPARC/Osteonectin Synthesis in Arthristic Cartilage, Its Increase Levels in Synoyial Fluids from Patients with Reumatoid Arthritis, and Regulation by Growth Factors and Cytokines." Arthritis and Reumatism. 39(in press). (1996)