1997 Fiscal Year Annual Research Report
顎下腺の自律神経刺激における細胞内pH上昇に及ぼす陽イオンの影響
Project/Area Number |
07672025
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
熱海 智子 明海大学, 歯学部, 助教授 (60049385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 琴二 明海大学, 歯学部, 助手 (10170086)
杉田 憲司 明海大学, 歯学部, 講師 (90171157)
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Keywords | 顎下腺 / 自律神経作動薬 / pH / Ca^<2+> / HSG細胞 / Na^+ / H^+ Exchanger |
Research Abstract |
我々は顎下腺の唾液分泌やイオン輸送機構に関連して,顎下腺細胞のpH上昇に及ぼす陽イオンの影響を検討するための基本的な研究として,自律神経刺激による細胞内pHの上昇(アルカリ化)についてHSGヒト顎下腺由来細胞とA-431ヒト類表皮癌細胞の比較を行った。すなわち,β-adrenergic作動薬のisoproterenol(10^<-3>-10^<-7>M)で刺激した場合,両細胞ともアルカリ化は全く認められなかった。また,α-adrenergic作動薬のnoradrenaline刺激の場合は,HSG細胞では10^<-6>M〜3×10^<-3>Mの範囲内で,およびA-431細胞では10^<-7>M〜2×10^<-4>Mの範囲内でアルカリ化が認められ,高濃度刺激ではエルカリ化しなかった。一方,muscarinic作動薬のcarbacholで刺激した場合では,両者におけるアルカリ化の様式は異なり,A-431細胞では7×10^<-5>M〜10^<-4>Mの範囲内でアルカリ化が認められたのに比べ,HSG細胞では,6×10^<-5>M以上で常にアルカリ化が認められ,その濃度の上限はなかった。上記の高濃度carbachol刺激によるHSG細胞のアルカリ化はCa^<2+>channel拮抗剤のnifedipineによる前処理によっても失われず,また,microsomal Ca^<2+>-ATPaseの阻害剤であるthapsigargin処理によっても失われなかった。これらのことから,HSG細胞には高濃度carbachol刺激によるアルカリ化機構が存在し,これはCa^<2+>independentであると推定される。このことより唾液を産生する唾液腺における神経作動薬による反応はその他の上皮細胞とは異なる機構を持っていると推定される。
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Research Products
(1 results)