1996 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺細胞の刺激-分泌応答における生理活性ペプチドの補足機能に関する研究
Project/Area Number |
07672031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
岩渕 良志喜 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助教授 (80095067)
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Keywords | 顎下腺 / 唾液分泌 / 蛋白分泌 / ピロカルピン / 神経性ペプチド / 協力作用 |
Research Abstract |
Pilocarpine(PILO)によるラット顎下腺からの唾液、蛋白および糖蛋白の分泌に対するvasoactive intestinal peptide(VIP)、peptide histidine isoleucine(PHI)、secretin(SEC)およびgastric inhibitory peptide(GIP)の補足作用について検討した。(1)PILO(0.03-0.3mg/kg,i.v.)単独投与の唾液の分泌量は、用量依存性の増大を示した。(2)神経性ペプチド(3μg/kg,i.v.)は、わずかな分泌を示し、VIP>SEC>PHI>GIPの順であった。(3)PILO(0.2mg/kg)による30分間の唾液の総分泌量は、VIP(0.03,0.3μg/kg),SEC(0.03-3μg/kg),PHI(3μg/kg)およびGIP(3μg/kg)の前投与で変わらず、VIPの3μg/kgの前投与で有意に増大した。VIPおよびSECの3μg/kg前投与では、flow rateはPILO投与後、0-5分で著しく増大し、その後有意差がなかった。(4)VIP(3μg/kg)とPILOの併用による唾液分泌の増大は、PILOの用量が0.3mg/kgでみられず、0.03および0.1mg/kgでみられた。(5)PILO(0.2mg/kg)とVIP(3μg/kg)による30分間の唾液総分泌量は、AF-DX116(1mg/kg)前処理で変わらず、pirenzepine(0.1,1mg/kg)前処理で弱く、atropineおよび4-DAMP(0.1,1mg/kg)前処理で著しく強い抑制がみられた。(6)PILO(0.2mg/kg)による30分間の唾液蛋白の総分泌量は、PHIおよびGIP前処理で変わらず、PHI前処理でわずかな増大、SEC前処理で著しい増大を示した。また、SEC前処理による蛋白分泌の著しい増大は、SECの用量が0.03および0.3μg/kgの場合でみられず、3μg/kgの場合でみられた。これらの結果により、pirocarpineのムスカリン性M_3受容体刺激による唾液と蛋白の分泌に対して、VIPとsecretinは協力作用を示すが、唾液分泌に対してはVIPが、蛋白分泌に対してはsecretinが優位に作用することを示唆した。
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