1995 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉線維芽細胞内のCaとグルタミナーゼの測定による歯肉肥大発現機序の解明
Project/Area Number |
07672042
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森崎 市治郎 大阪大学, 歯学部・附属病院, 助教授 (30116115)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 丞二 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20219710)
|
Keywords | カルシウム拮抗薬 / グルタミナーゼ / ラット / 歯肉肥大 / ニフェジピン / 歯肉線維芽細胞 / シクロスポリン / フェニトイン |
Research Abstract |
カルシウム(Ca)拮抗薬による薬物誘発性歯肉肥大に関するin vivoおよびin vitroの実験を行った. 1.in vivoの実験 i)フェニトイン(PHT)を用いた実験:各実験群のラットにPHTを飼料1g当り0,2,3,4または5mg混和して与え,40日間飼育した.その結果 (1)飼料中の薬剤量に比例して血中PHT濃度は上昇していた(順位相関係数0.740). (2)歯肉溝深さは各群,416±75(μm),517±84,500±67,529±45,612±91であり,歯肉肥大は血中PHT濃度と正に相関し,濃度依存性に重症化していた.雌雄間に差はなかった. (3)PHT投与群ラットの血中リン値は低く,葉酸は高値を示したが,Ca値に変化はなかった. ii)Ca拮抗薬とシクロポリン(CSA)の同時投与による影響 (1)300μgのCa拮抗薬(ニフェジピン:NF)投与群の歯肉溝深さNF300は635±97(μm)で,NF600:665±103(非投与対照群は475±42),CSA150μgの群は580±82であり,CSA300は904±104であったが,NF300+CSA150の群は605±99,NF600+CSA300は770±95となっていた. (2)NFとCSA同時投与で血中濃度は,単独投与に比べてNFで54%(NF300)または70%(NF600)となりCSAでは14%(CSA150)と18%(CSA300)に低下した. (3)Ca拮抗薬はCSAの血中濃度も低下させ,歯肉肥大を軽症化することが示された. 2.in vitroの実験 Ca拮抗薬を与えて歯肉肥大を発現させたラットから歯肉組織を切除し,組織中のアポプトーシスと関連する酵素トランスグルタミナーゼ(tGTase)の活性を測定した. (1)CSA投与ラットの全歯肉組織のtGTase活性は4366(dpm/mgタンパク)であり,ホモゲナイズ後の核と細胞質では2595であった.非投与対照ラットではそれぞれ1961と15403になっていた. (2)肥大組織の核のtGTase活性は弱く,細胞死による組織のリモデリングが障害されるため,増大をきたす可能性が示された.
|
Research Products
(11 results)
-
[Publications] Ishida,Hiroshi: "Factors influencing nifedipine-induced gingival overgrowth in rats." J.Periodontol.66. 345-350 (1995)
-
[Publications] Nishikawa,Seiji: "Pathogenesis of drug-induced gingival overgrowth.An approach with its rat model." J.Periodontol.(印刷中)(95-110R受理). (1996)
-
[Publications] 森崎市治郎: "ニフェジピン投与ラットにおけるActinomyces viscosus感染のう蝕と歯周組織に及ぼす影響" 障歯誌,. 16. 3-8 (1995)
-
[Publications] 藤木直樹: "HIV感染者の歯周炎に関する臨床的,細菌学的ならびに免疫学的検討" 障歯誌,. 16. 172-179 (1995)
-
[Publications] 秋山依子: "ラットのフェニトイン誘発性歯肉肥大における薬剤の投与量,投開始日齢および投与期間と肥大の程度との関係." 障歯誌,. 16. 242-248 (1995)
-
[Publications] Yoshida-Minami,Ichie: "Clinical,microbiological and host defence parameters associated with a case of localized prepubertal periodonitis." J.Clin.Periodontol.22. 56-62 (1995)
-
[Publications] 中村泰子: "Von Recklinghausen 病児2例の歯科的所見-顔面および口腔症状の比較-." 障歯誌. 16. 215-220 (1995)
-
[Publications] 森崎市治郎: "高齢者・障害者の「食」の援助プログラム 口腔の衛生(p.99-126)," 医歯薬出版 大塚彰編, 190 (1995)
-
[Publications] 石田浩: "この薬のこの副作用,ニフェジピンと歯肉増殖症(p.212-213)" 医歯薬出版 松田重三編., 333 (1996)
-
[Publications] 森崎市治郎: "う蝕予防のための食品科学-甘味糖質から酵素阻害剤まで-" 医歯薬出版 大嶋隆,浜田茂幸編, 261 (1996)
-
[Publications] 森崎市治郎: "この薬のこの副作用,フェニトインと歯肉肥大" 医歯薬出版 松田重三編., 333(234-235) (1996)