1996 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺腫瘍の母細胞の検索(reserve cellにおける癌関連遺伝子産生蛋白の変化
Project/Area Number |
07672064
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
住友 伸一郎 朝日大学, 歯学部, 講師 (50216496)
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Keywords | 顎下腺 / 発癌 / 免疫組織化学 / 癌遺伝子 / c-erbB-2 / 細胞増殖 / PCNA / FGF |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、ラット顎下腺発癌実験における癌関連遺伝子産物に関する免疫組織化学的検索を行った。正常ラット顎下腺の導管細胞にc-erbB-2癌遺伝子産物が陽性を示し、ラット顎下腺の発癌過程においては発癌初期に認められる小細胞塊および残存導管、発癌剤埋入後4〜6週で認められるDMBA/スポンジ周囲の角化嚢胞様上皮や導管様構造物などの前癌病変、および12週以降に形成される腺扁平上皮癌についてもc-erbB-2癌遺伝子産物が陽性であった。しかし、ras、fosなどの癌遺伝子、p53などの癌抑制遺伝子の産物についての免疫組織化学的検索では、種々のエピトープの異なった抗体を用いても陽性反応を認めなかった。これらの結果はラット顎下腺発癌実験においてc-erbB-2以外の癌遺伝子産物の関与が無い可能性を示唆するが、同時に種差による交叉反応性や標本作成過程における抗原性の変化もの問題あり確定はできない。この点をさらに明確にするべく、PCR、RT-PCRを用いて、種々の癌関連遺伝子のDNAレベルでの変化やmRNA発現についての検索を計画している。 さらに本年度はラット顎下腺発癌実験におけるbFGFとFGF-receptorの関与について免疫組織化学的に検討した。b-FGF、FGFreceptorはともに正常ラット顎下腺の導管細胞に陽性を示し、発癌過程において認められるDMBA/スポンジ周囲に形成される角化嚢胞様構造、導管様構造物においても陽性で、12週以降に形成される腺扁平上皮癌についても陽性であった。bFGFとFGFreceptorが同一の組織に存在することから、FGFはオートクリンあるいはパラクリンの分泌機構により腫瘍増殖に関係する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] S.Sumitomo,K.Hashimura,M.Mori: "Growth pattern of experimental squamous cell carcinoma in rat submandibular glands -An immunohistochemical evaluation-." Oral Oncol Eur J Cancer. 32. 97-105 (1996)