1996 Fiscal Year Annual Research Report
修復象牙質形成における象牙芽細胞の分化,誘導に関する免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
07672074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鮎川 幸雄 新潟大学, 歯学部, 助手 (00183145)
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Keywords | 修復象牙質 / 象牙芽細胞 / 象牙芽細胞突起 / 細胞外基質 / プロテオグリカン / デコリン / う蝕 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
修復象牙質形成における象牙芽細胞の分化誘導のメカニズムに関する基礎的研究の一環として、特に細胞分化と細胞外気質との関連性に着目し、その局在について免疫組織化学的検索を進めており、これまでにフィブロネクチンが修復象牙質形成の初期の段階で重要な役割を果たしている可能性を示してきた。今回さらに、TGF-β等の成長因子と結合して細胞の増殖に関連すると考えられている。プロテオグリカンの一種デコリンの局在について免疫組織化学的観察を行った。ヒト健全歯においては象牙芽細胞体ならびに象牙前質に位置する細胞突起に強いデコリンに対する反応が認められたが、象牙前質には全く反応が認められなかった。またデコリンの強い陽性反応は象牙質石灰化前線に沿って認められ、さらに象牙細管に連続して観察された。石灰化された象牙質基質ではび慢性の反応として観察された。一方、う蝕に伴う修復象牙質やそれに付随する象牙芽細胞においても、健全歯と同様な反応が観察されたが、う蝕象牙質基質にはデコリンの反応は全く認められなかった。以上の結果から、デコリンの象牙質形成、特に石灰化の調整因子としての役割が示唆された。さらに象牙質基質に存在する様々な成長因子がう蝕の脱灰により放出されることで、修復象牙質形成に何らかの役割を果たしている可能性が示唆されており、従って象牙質中に存在するデコリンのこの過程との関連性も示唆された。 一方、象牙質における象牙芽細胞突起の分布を明らかにすることは、象牙質知覚メカニズムの解明ばかりでなく修復処置を行う上でも重要な課題である。従来から様々な手法によりその同定が試みられてきたが、未だ統一した見解が得られていない。そこでまずヒト健全歯における象牙芽細胞突起の象牙質内分布を検索するため、微細構造学的観察ならびに蛍光標識法(Di-I,F-actin)による観察を行った。その結果、象牙芽細胞突起は象牙質内側1/3程度にとどまることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N.Yoshiba et al.: "Immunolocalization of the small profeoglycan decorin in human teeth." Archives of Oral Biology. 41(4). 351-357 (1996)
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[Publications] K.Yoshiba et al.: "Immunolocalization of fibronectin during reparative dentinogenesis in human teeth affer pulp capping with calcium hydroxide." Journal of Dental Research. 75(8). 1590-1597 (1996)
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[Publications] K.Yoshiba et al.: "Distribntion of adontoblast processes in human coronal akntin." Dentih/Pulp Complex.287-288 (1996)
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[Publications] N.Yoshiba: "Distribution of the small profeoglycan decorin in human teeth." Dentih/Pulp Complex.304-305 (1996)