1995 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムイオン注入チタンの生体中での表面特性の解明
Project/Area Number |
07672114
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
塙 隆夫 徳島大学, 歯学部, 助教授 (90142736)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 邦夫 徳島大学, 歯学部, 助手 (90202952)
淺岡 憲三 徳島大学, 歯学部, 教授 (50014189)
|
Keywords | イオン注入 / 表面改質 / チタン / 表面特性 |
Research Abstract |
カルシウムイオン注入チタンと非注入チタンの表面特性を比較した. 表面水酸基量の測定 鏡面に研磨した純チタン(99.9%)に,カルシウムイオンを18keVのエネルギーで10^<18>ions/cm^2注入した.塩化アンモニウム水溶液と塩化亜水溶液を混合し,アンモニア水でpHを6.9に調整した溶液に試料を浸漬する.この操作により試料表面の活性な水酸基は亜鉛と錯体を形成する.試料を純水ですすいだ後硝酸水溶液に浸漬すると,錯体を形成した亜鉛が硝酸中に放出される.硝酸中の亜鉛量をプラズマ発光分析によって定量し,試料単位表面積当たりの水酸基量を算出した.表面水酸基量はカルシウムイオン注入チタンで15.40±10.58nm^<-2>,チタンで1.84±1.56nm^<-2>であり,カルシウムイオン注入チタンのほうが,表面水酸基量が多い.この結果は,X線光電子分光(XPS)によっても確認された.すなわち,体液中で表面水酸基が電離したときの電荷サイトの数は,カルシウムイオン注入チタンのほうが多い. 零電荷点の決定 カルシウムイオン注入チタン表面酸化層を構成するCaTiO_3およびTiO_2について零電荷点(pzc)を測定した.水酸化ナトリウム水溶液に硝酸水溶液を滴定した際の滴定曲線は酸化物粉末が存在するとずれを生じ,酸化物が存在しない曲線との間に交点を作る.この交点のpHがpzcである.pzcはCaTiO_3で8.1,アナターゼで5.9,ルチルで4.6であった.すなわち,カルシウムイオン注入チタンはチタンよりもpzcが大きく,体液中でチタンより負に帯電している. カルシウムイオンの溶出 CaTiO_3およびTiO_2の焼結体を疑似体液に浸漬したところ,TiO_2では重量がほぼ一定だったのに対して,CaTiO_3では一旦減少しその後増加した.この変化はCa^<2+>の溶出およびリン酸カルシウムの析出に対応している.したがって,カルシウムイオン注入チタンは体液中で,Ca^<2+>を微量溶出する.
|