1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯科・口腔外科領域における周術期呼吸管理の基礎および臨床的研究
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07672192
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渋谷 鉱 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70130523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 優 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (90221275)
山口 秀紀 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50220273)
石橋 肇 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (90184564)
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Keywords | 顎間固定 / 呼吸機能 / 口・鼻呼吸 / 呼吸経路 / 気道閉塞 / 診療姿勢(体位) |
Research Abstract |
歯科・口腔外科領域の手術の顎間固定操作と呼吸機能、特に鼻呼吸-変換に着目し、口腔外科領域の周術期の呼吸管理上の問題点について検討を加えた。 基礎的研究 1.換気測定用マスク(専用マスク)の試作を行った。 2.顎間固定によって口呼吸は消失し、呼吸経路は全例鼻呼吸のみとなった。また、顎間固定前の鼻および口呼吸から固定後の鼻呼吸のみへの移行がみられた。 3.顎間固定後の口呼吸の消失は開口制限によるものと考えられる。 臨床的研究 1.手術症例における顎間固定後の呼吸経路は鼻呼吸を主とするものが29例中27例(93.1%)であった。 2.顎間固定後に口呼吸が消失症例がみられた。 3.顎間固定前、鼻呼吸および口呼吸の両者を呼吸経路にしていた症例では、術中の顎間固定によって全身麻酔後鼻呼吸のみとなり、TVおよびMVの減少とEtCO2の増加が認められた。 4.鼻呼吸経路の閉塞によって口呼吸経路への移行が認められ、鼻呼吸経路の解放により再び鼻呼吸が再開するが、同時に口呼吸も継続して観察された。しかし、SpO2およびPaCO2の変動から術直後の鼻閉に関しては注意が必要である。 5.術前に口呼吸が関与している場合、顎間固定後鼻呼吸経路の遮断によって、ある程度口呼吸が補填できるもののRCおよびAbdの呼吸運動は不規則、振幅の増大とAbdへの依存度が大きくなった。また、主呼吸経路を閉塞した場合、胸郭・腹壁運動の増大、不規則な呼吸状態を示し、気道閉塞(奇異呼吸)様の変化が認められた。 6.慢性心不全を合併している患者の診療姿勢と呼吸・循環におよぼす影響について観察した。その結果、起座位では正常なカプノグラムが水平位では吸気平坦相に複数の乱れが生じ、SpO2の低下も認められた。診療姿勢が予備能力の少ない心疾患患者では重要であり、画一的な歯科診療中の水平位に対しては注意を喚起したい。
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Research Products
(2 results)