1997 Fiscal Year Annual Research Report
顎骨感染モデルの好中球機能におよぼす化学療法剤の影響
Project/Area Number |
07672194
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 田鶴子 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (40095138)
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Keywords | 顎骨感染モデル / 好中球機能 / 化学療法剤 |
Research Abstract |
歯性感染症の治療の目的で投与された化学療法剤、抗菌剤は起因となった細菌に対して作用するばかりでなく、生体防御機構にも影響を及ぼしている。そこで、好中球(多形核白血球 Polymorphonuclear leukocyte : PMN)機能に及ぼす抗菌剤の影響を検討した。顎骨に実験的に膿瘍を形成させた可及的に画一化した動物モデルを用いて経時的に採血し、PMLの機能を知る必要があり、本研究の予備的研究は、佐藤-Heimdahl法で作製した下顎骨感染モデルが果たして炎症のモデルとして適正か否かを確認した(平成7年度)。その結果、感染モデル作製のための2菌種(Streptococcus milleri NCTC 7331及びBacteroides flagilis NCTC 9343)接種した群(感染モデル群)での白血球数は計測時点(菌接種前、菌接種3日目、7日目、3週目、12週目)のすべての時期で菌接種前より高値を示していた。また、同時に測定した血清シアル酸値は菌接種群の方が理論どおり高値であった(平成8年度)。 PMLの走化能は、走化性因子FMLPを用いて96穴メンブランフィルターを用い、マイクロブレートリーダー(波長620nm)でその波長を測定した。影響する因子としてはアンピシリン(ABPC)、エリスロマイシン(EM)、オフロキサシン(OFLX)の3剤である。その結果、菌接種していない群では、ABPCは各濃度(1、10、100μg/ml)とも影響はなく、感染時点のいずれにおいても影響はなかった。EMは菌接種3、7日目が全体として走化性は亢進していたが、濃度からみると、濃度依存的に抑制されていた。OFLXについては、全体的な走化能の亢進は、ELと同様に菌接種3、7日目が亢進していたが、濃度からみると、10μg/mlでは促進していたが、高濃度では有意に抑制されていた。以上の結果から、感染の急性期にはPMNの走化性は亢進していたが、抗菌剤の種類とその作用濃度により、影響のみられることがわかった。なお、貧食能については、フローサイトメータの使用法の習熟不十分で測定不可能であった。
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