1996 Fiscal Year Annual Research Report
歯科診療時における患者のストレスの定量化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
07672237
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Research Institution | NIHON UNIVERSITY |
Principal Investigator |
後藤 實 日本大学, 歯学部, 助教授 (10102617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 秀嗣 日本大学, 歯学部, 講師 (20153851)
小池 一喜 日本大学, 歯学部, 講師 (70096808)
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Keywords | 歯科 / ストレス / 唾液 / コルチコステロン / 味覚 / β-エンドルフィン |
Research Abstract |
前年度の研究では被験者や実際の患者の唾液中のコルチコステロン濃度が変化することが捉えられたが、ストレスとの直接的な関係が明白ではなかった。そこで、唾液採取の方法をできるだけ簡単にして、被験者に意識させることなく唾液を採取して解析を試みた。また、採血が可能な場合には血中濃度の変動との比較を行った。 コルチコステロン量は診療中に上昇するだけでなく、被験者によっては病院への来院時にもっとも高い場合があることが判明した。また、診療中に恐怖感を覚えたり、痛みを強く感じた場合には分泌量が高まることも判明した。しかし、こうしたストレスが過度に高まると唾液自体の分泌が低下するため、正しい測定ができない場合も生じた。この場合、事後の聞き取りによってある程度修正することが可能で、緊張度の自己申告とコルチコステロン量はほぼ同様の結果を示した。また、器具が触れ合う金属音や歯科医師と衛生士との会話敏感で、これらの音によって心拍数が変化する人は、総じてコルチコステロンが高い結果になった。 体温や心拍数の細かい変動は唾液中のコルチコステロン量には直接現れないが、これらの変動常時大きく認められる場合には変化が現れてくる。また、唾液中のコルチコステロンの変動は、血中のコルチコステロン、コルチゾル、β-エンドルフィン濃度の変動などとも強く相関していることも明らかになった。同一の患者について診療の度に試料を採取し、診療内容とストレスの関連を調べており、現在解析を続けている。
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