1995 Fiscal Year Annual Research Report
歯を移動した際に歯根膜牽引側骨表面に形成される類骨の石灰化メカニズムの研究
Project/Area Number |
07672245
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
中村 芳樹 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10097321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 隆 鶴見大学, 歯学部, 助手 (50271367)
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Keywords | 歯の移動 / 歯根膜 / 類骨 / 元素分析 / カルシウム / リン / 無固定非脱灰切片 |
Research Abstract |
歯を移動した際のラット第一臼歯歯根膜の未固定非脱灰凍結切片を弱拡大で観察すると、歯槽骨や歯髄および歯根膜の牽引部と圧迫部が明瞭に識別できた。歯の移動7日間経過した牽引側では歯根膜腔は拡大し、歯根膜線維は牽引され歯槽骨表面ではトルイジンブルー染色でメタクロマジ-を示すかなりの厚さの類骨の形成が認められ、骨形成が活発に行われているものと思われた。また、アルカリ性ホスファターゼ活性も骨表面部位すなわち類骨層に相当する部位に認められた。走査電子顕微鏡で牽引側の歯根膜を観察すると、弱拡大では歯根膜線維のnetwork arrangementは観察されたが、その他細胞や血管の識別は難しかった。骨表面を拡大してみると類骨と思われる部位では骨に埋入する歯根膜線維(Sharpey′s fiber)と線維間基質が観察された。反射電子で観察すると石灰化骨基質と未石灰化基質との境界がかなり明瞭に区別できた。そこで、この骨に埋入する歯根膜線維と線維間基質での元素分析を行った結果、骨表面に近い類骨ではPとCaの非常に高いピークとS, ClとKのピークがみられた。骨表面から離れるに従いPとCaのピークは低下傾向を示した。さらに離れると、Sと同程度の低いピークとなる。Sのピークの高さはほとんど変化はみられなかった。CaとPの線分析においても骨表面に向うにつれてピークの上昇傾向がみられた。従って、類骨内ではCaとPの濃度は一定でないこと、そして両者の濃度は石灰化骨基質に近付くにつれて上昇するものと思われ、歯の移動時の骨形成部位ではなんらかのCaやPの濃度を押し上げる働きがあるのではないかと思われる。 以上から、歯の移動によって形成される類骨内ではCaとPの濃度は一定ではなく石灰化骨基質に近付くにつれて上昇傾向を示した。
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